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Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
biology

オスの性欲は「狭い部屋に閉じ込められる」と低下すると判明

2026.05.18 17:00:38 Monday

ストレスを受けると「やる気が出ない」「眠れない」「食欲が落ちる」など、心身にはさまざまな変化が起こります。

そして、その影響は「性欲」にも及ぶことがあります。

ヒトやラットなどの哺乳類では、強いストレスによってオスの性的モチベーションが低下することが知られてきました。

しかし、ストレスが脳の中でどのような仕組みを通じて性欲を下げるのかについては、まだ十分に分かっていません。

東京都立大学大学院の研究チームは今回、ショウジョウバエを使い、狭い空間に閉じ込められるストレスがオスの求愛行動を大きく低下させることを明らかにしました。

研究の詳細は2026年4月27日付で学術誌『iScience』に掲載されています。

狭い部屋に閉じ込められるストレスにより オスの性欲が低下する仕組みを解明! https://www.tmu.ac.jp/news/topics/38630.html
Role of dopamine signaling in male courtship suppression induced by confinement stress in Drosophila https://doi.org/10.1016/j.isci.2026.115906

狭い部屋に閉じ込められたオスは、メスに求愛しなくなる

研究チームが注目したのは、遺伝子操作がしやすく、脳の神経回路を調べやすいショウジョウバエです。

ハエと聞くと単純な生き物に思えるかもしれませんが、オスのショウジョウバエはメスに出会うと、羽を震わせて歌のような信号を出したり、後を追ったりする求愛行動を示します。

つまり、求愛行動の量を調べることで、オスがどれほどメスに性的な関心を向けているかを推定できます。

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Credit: 東京都立大学(2026)

今回の研究では、成熟したオスバエを直径3ミリ、深さ2ミリの小さなアクリル容器に閉じ込めました。

ショウジョウバエの体長はおよそ2〜3ミリなので、この容器の中でも脚を動かしたり、体の向きを変えたり、毛繕いや摂食をしたりすることはできます。

しかし、自由に歩き回ることはできません。

いわば、体は動かせるものの、行動範囲を大きく制限された「狭い部屋」に閉じ込められた状態です。

その結果、10分間の狭所ストレスでは求愛行動に目立った変化はありませんでした。

ところが、30分または60分のストレスを受けたオスでは、その後のメスへの求愛行動が有意に低下しました。

さらに、60分のストレスでは30分の場合よりも強い抑制が見られ、ストレスの時間が長いほど、求愛行動への影響も大きくなることが示されました。

興味深いのは、この変化が単なる「疲れ」や「体調不良」では説明しきれない点です。

ストレス直後にはオスバエの運動量が低下しましたが、1時間後には回復していました。

また、摂食行動にも大きな影響は見られませんでした。

それにもかかわらず、メスへの求愛は抑えられていたのです。

このことからチームは、狭所ストレスによってオスの性的モチベーション、つまり性欲が低下した可能性が高いと考えました。

さらに、1時間の狭所ストレスによる求愛抑制は1時間後までは続きますが、2〜4時間後には回復しました。

一方で、7時間や24時間という長いストレスを与えると、求愛行動の低下は少なくとも5日間続きました。

小さなハエの脳にも、ストレス経験の長さに応じて、行動をしばらく変えてしまう仕組みがあると考えられます。

次ページどのような仕組みで性欲が落ちたのか?

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