『雌牛の書』に記された不気味なレシピ
ホムンクルスの作成法として知られる古い記述の一つに、『雌牛の書』と呼ばれるアラビア語文献があります。
この文献は、伝承上はギリシャの哲学者プラトンによって書かれたものとされていました。
ただし、実際にプラトン本人の著作であるとは考えにくく、後世の錬金術的・魔術的文献として扱うべきものです。
『雌牛の書』に記された方法では、人間の精液、雌牛または雌羊、動物の血などが材料になります。
まず雌牛や雌羊に人間の精液を人工授精し、その動物の性器に別の動物の血を塗り、さらに別の動物の血だけを与えて育てるとされていました。
やがて妊娠した動物は、完全な赤ん坊ではなく、形の定まらない塊のようなものを産むとされます。
その塊は、砕いた日長石(サンストーン)、硫黄、磁石、緑のトゥティア、白柳の樹液などを混ぜた粉末の中に置かれます。
そして人間の皮膚のようなものが現れ始めたら、大きなガラス容器や鉛の容器に入れ、さらに母体の血を与えることで、完全なホムンクルスになると考えられていました。

この話が不気味なのは、単に人造人間を作ろうとした点だけではありません。
ホムンクルスは、ただの小人ではなく、超自然的な力を持つ存在として描かれていた点です。
『雌牛の書』では、ホムンクルスにはいくつかの種類があり、それぞれ異なる力を持つとされました。
あるホムンクルスは、人を牛や羊、サルの姿に変えたり、水の上を歩かせたり、遠くで起きていることを知らせたりできるとされます。
別のホムンクルスは、悪魔や霊を見たり、それらと会話したりする力を与えるとされました。
さらに別のものは、季節外れの雨を降らせたり、猛毒の蛇を生み出したりできると信じられていました。
つまりホムンクルスは、人工生命であると同時に、世界の隠された力にアクセスするための「道具」としても想像されていたのです。






























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