2つ目:ごく「小さな決断」で動けなくなる
知的能力が高い人に見られるもう1つの奇妙な癖は、非常に簡単な決断に時間がかかることです。
「どの映画を見るか」
「レストランで何を注文するか」
「届いたメッセージに今返信するか、それとも少し後にするか」
どちらを選んでも大した問題にはならないのに、なかなか決められないことがあります。
周囲から見れば、決断力がないように見えるでしょう。
本人も、「こんな簡単なことも決められない」と恥ずかしく感じるかもしれません。
しかし、選択肢を評価できないから決められないとは限りません。
むしろ、あまりにも多くの選択肢を評価できてしまうため、決断が難しくなっている場合があります。
この背景にあると考えられるのが「最大化傾向(maximizing)」と呼ばれる意思決定のスタイルです。
最大化傾向が強い人は、十分に良い選択肢を見つけた時点で満足するのではなく、可能な限り最善の選択肢を探そうとします。
たとえばメニューを選ぶときにも、味、価格、量、健康への影響、以前食べた料理との違いなど、複数の条件を同時に比較します。
さらに「別の料理を選んだほうが後悔しないのではないか」と、選ばなかった場合の未来まで想像します。

こうした能力は、重要な意思決定では大きな強みになります。
就職先を選ぶときや、複雑な問題を解決するときには、多くの可能性を思い浮かべ、それぞれの結果を予測できる人ほど、優れた判断に到達しやすくなるでしょう。
しかし問題は、この分析能力が、状況の重要性に合わせて自動的に弱まるとは限らないことです。
人生を左右する決断で使われる思考と同じものが、動画配信サービスで作品を選ぶときにも作動してしまいます。
その結果、考える必要のほとんどない問題に対しても、多数の可能性を生み出し、比較を続けてしまうのです。
また、最大化傾向は、必要なときだけ使われる一時的な戦略というより、さまざまな場面に表れる比較的安定した意思決定スタイルであることも示唆されています。
重要な決断で最善を求める人は、日常の小さな選択でも最善を求めやすいのです。
まとめ
深く考える力は、複雑な問題を解決するときには大きな武器になります。
しかし、その力が状況の重要性に関係なく働き続けると、簡単な会話をいつまでも考えたり、小さな選択で立ち止まったりすることがあります。
今回紹介した2つの癖に共通しているのは、「深く考えるように調整された頭が、浅く考えれば十分な場面でも、簡単にはモードを切り替えられない」という点です。
外から見れば、それは執着や優柔不断に見えるでしょう。
しかし実際には、能力の不足ではなく、優れた思考能力に伴って現れる特性なのかもしれません。
大切なのは、考えすぎる自分や他人をすぐに否定するのではなく、その思考が本当に必要な場面なのかを見極めることです。
深く考える力をなくす必要はありません。
その力をどこで使い、どこで手放すかを選べるようになることが重要なのです。




























