メリット2:人間以外の生き物にも優しくなれる
悲観主義は、相手を選びません。
苦しみに境界線はないからです。
ショーペンハウアーにとって、生きることは苦しむことでした。
そして当然ながら、生きているのは人間だけではありません。
彼の考えでは、生きるものはみな欲望を持ち、欲望を持つものは苦しみます。
(たとえば、野生動物は、食料を探し、捕食者から逃げ、繁殖相手や安全な場所をめぐって競争しています。)
そして、苦しむ存在であるならば、人間であるかどうかにかかわらず、思いやりを向けるべき対象になります。
つまり、ショーペンハウアーの悲観主義は、「苦しみは人間だけのものではない」と気づくことで、道徳の対象を人間以外にも広げるものなのです。
この見地を得ることで、第一に、自分本位な見方から離れられます。
人間だけを特別扱いせず、動物も苦痛や恐怖を経験する存在として見ることで、自分や人類の都合だけで世界を判断しにくくなります。
第二に、残酷さに敏感になります。
動物の苦しみを軽く扱わない態度は、人間の苦しみに対する感受性ともつながります。
ショーペンハウアーにとって、思いやりは相手の種類によって切り替えるものではありませんでした。
そして第三に、自然に対してどう行動すべきかの基準が明確になります。
「苦しみを不必要に増やさない」という原則を持てば、動物の扱い、食生活、飼育、実験、自然との接し方などについて、より一貫した判断ができるでしょう。
ショーペンハウアーの悲観主義は、倫理的な視点を人間だけにとどまらない、より広いものにしてくれます。


























