なぜ「緑地」が多いと、発症リスクが下がるのか
さらに興味深かったのが、公共の公園についての結果です。
チームは最寄りの公園までの直線距離だけでなく、実際の道路に沿って歩いた場合の距離まで調べました。
ところが意外にも、公園がどれほど自宅に近いかという距離そのものと、2型糖尿病の発症との間には明確な関連がありませんでした。
一方で違いがみられたのが、公園の「数」です。
自宅から800メートル以内に公園が0~1カ所しかない人と比べて、4カ所以上ある人では2型糖尿病の発症リスクが5.7%低くなっていました。
また、公園そのものの大きさについても明確な関連は確認されませんでした。
つまり今回の研究では、「巨大な公園が1つ近くにあること」よりも、近所に複数の公園という選択肢が存在することのほうが糖尿病リスクの低さと結びついていたのです。
では、なぜ緑地の多い環境が健康と関係するのでしょうか。
研究者たちは、庭や公園が身体活動を増やす可能性に加えて、屋外で過ごすことによるストレス軽減や心理的な回復、日光を浴びることによるビタミンDへの影響、環境中のさまざまな微生物に触れることなど、複数の仕組みが考えられるとしています。
ただし、今回の研究では参加者が実際に庭や公園をどの程度利用していたかまでは測定していません。
また観察研究である以上、「緑地が多かったから糖尿病が減った」という因果関係を証明したものでもありません。
所得や健康意識など、完全には取り除けない別の要因が結果に影響している可能性も残されています。
それでも42万人以上を長期間追跡した今回の結果は、糖尿病予防を考えるうえで、食事や運動といった個人の生活習慣だけでなく、人々が暮らす街そのものの環境も無視できない可能性を示しています。
高密度の集合住宅が増えていくなか、庭や公園は単なる景観のための空間ではなく、将来の健康を支える都市インフラの一部なのかもしれません。


































