落ち込みや絶望より強かった、心の危機を知らせる言葉
落ち込みや絶望より強かった、心の危機を知らせる言葉 / Photo by Vladyslav Dukhin on Pexels
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落ち込みや絶望より強かった、心の危機を知らせる言葉

2026.09.25 18:00:00 Friday

友だちへのメッセージを何度も打っては消し、結局「大丈夫」とだけ送ってスマホを伏せた夜。

苦しい気持ちを打ち明ける文章には、その人の危うさを知らせる手がかりが含まれています。

アメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)などの研究チームは、AIを使って、自殺の危険につながる49の要因を文章から拾い上げる「言葉の辞書」を作りました。

この辞書を使うと、危機相談でのメッセージのやり取りから、相談員(カウンセラー)が判定した自殺のリスクを予測できました。

自殺の企図(命を絶とうとすること)は予測がとても難しく、訓練を受けた臨床医でさえ、誰が実行に移すかを見分けるのに苦労します。

相談の最中に、どんな言葉が切迫した危険のサインなのかが分かれば、相談員が急いで向き合うべき人を見極める助けになるかもしれません。

ただし、この辞書が予測したのは相談員が判定したリスクであって、実際の自殺未遂や死亡ではありません。

つらい気持ちを抱えている方は、一人で悩まずに相談してください。電話の「#いのちSOS」(0120-061-338、毎日24時間・無料)のほか、厚生労働省の「まもろうよ こころ」で電話やSNSの相談窓口を探せます。

研究内容の詳細は2026年9月24日に『Journal of Psychopathology and Clinical Science』にて発表されました。

Estimating suicide risk from text (MIT News) https://news.mit.edu/2026/estimating-suicide-risk-from-text-0924
Using large language models to create lexicons for interpretable text models with high content validity: The suicide risk lexicon. https://doi.org/10.1037/abn0001152

自殺の危険には数十の要因がからみ合う

自殺の危険には数十の要因がからみ合う
自殺の危険には数十の要因がからみ合う / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

自殺の考えや行動につながる要因は、数十も知られています。

うつ病や境界性パーソナリティ障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)といった心の病気もあれば、貧困や差別、孤独といった暮らしや人間関係の重荷もあります。

研究を率いたダニエル・ロウ氏は、これらの要因が、まだよく分かっていない形で互いに影響し合っていると話しています。

そこで研究チームは、心の危機のまっただ中で、相談員が特に気をつけるべき要因はどれなのかを調べることにしました。

協力したのは、アメリカの非営利団体「クライシス・テキスト・ライン」です。

ここでは訓練を受けたボランティアの相談員が、苦しんでいる人をメッセージのやり取りで、無料で24時間、秘密を守って支えています。

研究チームは、個人が特定できないように加工した会話を、団体の判定にもとづいて3つのグループに分けました。

自殺を考えていない人、自殺を考えているが切迫はしていない人、そして切迫した危険がある人です。

この研究で切迫した危険のグループに入れたのは、計画した自殺を48時間以内に実行するおそれがあるとされた会話、切迫した危険があると判定された会話、または緊急サービスが介入した会話です。

これまでの研究の多くは、危機が過ぎた後に症状を思い出してもらう調査でした。

今回は、危機が起きているその場の言葉を分析できる点が違います。

では、研究チームはAIを使って、どうやってその言葉の辞書を作ったのでしょうか?

そして、その辞書はどこまで当たったのでしょうか?

次ページAIに下書きさせ、人が磨いた辞書はどこまで当たった?

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