15万人分の試験をまとめても、骨折はほとんど減らなかった

カルシウムとビタミンDは、昔から骨の健康と深く結びつけて考えられてきました。
カルシウムは骨をつくる主な材料で、ビタミンDは体がカルシウムを取りこむのを助け、骨の新陳代謝も支えています。
医師や診療のガイドライン、行政の機関も、骨のためにビタミンDを(カルシウムと一緒の場合も含めて)よくすすめてきました。
近年は、処方される量もかなり増えていました。
年をとると、転ぶことは大きな心配ごとになります。
65歳以上の大人のおよそ3人に1人は毎年転んでいて、転倒は骨折や長引く痛み、身の回りのことが自分でできなくなることにつながり、ときには介護施設へ移るきっかけにもなります。
ただ、これまでの研究では、カルシウムやビタミンDを1つだけ補っても骨折の危険はおおむね下がらない、という結果が出ていました。
2つを一緒に補った場合は結果がそろわず、ビタミンDが転倒を減らすのかもはっきりしていませんでした。
そこで研究チームは、18歳以上の大人を対象にした69の試験、あわせて15万3902人分の結果を集めて調べ直しました。
比べたのは、カルシウムだけ、ビタミンDだけ、2つを一緒に補ったグループと、にせのサプリ(プラセボ)を飲んだか何もしなかったグループです。
いちばん知りたかったのは、体のどこかの骨が折れたかどうかです。
あわせて、股関節(足の付け根の関節)の骨折、背骨の骨折、背骨以外の骨折、転んだかどうか、転んだ回数も調べています。
結果は、どの補い方でもほぼ同じでした。
サプリを補ったグループで骨折が減る効果は、ほとんど、あるいはまったく見られなかったのです。
股関節の骨折や転倒など、ほかの項目でも効果はほとんどないように見えました。
気をつけたいのは、集めた試験の87%が地域で暮らす人たちを、73%が骨折や転倒の危険が特に高くない人たちを対象にしていたことです。
では研究チームは、たくさんの試験をどうやってまとめ、「ほとんど効果がない」と判断したのでしょうか?


























