切迫した危険を示していたのはどんな言葉?

辞書のもう1つの強みは、予測にどの要因が効いたのかが見えることです。
調べてみると、切迫した危険の予測に特に効いていたのは、自殺の手段についての言及、能動的な希死念慮(自分の命を絶つことについての考えや計画)、そして直接的な自傷についての言葉などでした。
これらはどれも、受動的な希死念慮(死を願うが、自ら命を絶つ考えまではない状態)や、気分の落ち込み、絶望感よりも強いサインでした。
境界性パーソナリティ障害やトラウマ・PTSDに関わる言葉も、気分の落ち込みや絶望感より予測に効いていました。
つまり危機のさなかの相談では、落ち込んだ気分よりも、自分を傷つける行動や、命を絶つことへのはっきりした考えのほうが、切迫した危険をよく表していたのです。
研究チームは、これは症状を振り返ってもらう評価の研究で分かっていたことを、部分的に裏付ける結果だとしています。
一方で、予想と違う結果もありました。
入院や、攻撃性・いらだちについての言葉は、気分の落ち込みよりも予測への効き目が小さく、衝動性は予測に効いていませんでした。
ただし、この順位は、相談中に相談員が下した判断を予測した時のものです。
実際の自殺未遂などの行動を前もって予測しようとすると、要因の順位は変わるかもしれないと、研究チームは注意しています。
研究チームは、ほかの分野でも同じように辞書を作れるよう、いろいろな大規模言語モデルで使えるプログラム「construct-tracker」も公開しました。
まだ分からないことも残っています。
利用後のアンケートに答えた人は利用者の約22%で、その中では25歳未満が76%、女性が79%を占めていました。
ほかの言語や文化、電子カルテや心理療法の記録で同じように使えるかは、まだ分かっていません。
自殺の危険をふるい分ける道具として使えるかどうかも、これからの評価しだいです。
何気なく打った一言にも、読み取る側がしっかり耳を澄ませれば、届くものがあるのかもしれません。
つらい気持ちを抱えている方は、一人で悩まずに相談してください。電話の「#いのちSOS」(0120-061-338、毎日24時間・無料)のほか、厚生労働省の「まもろうよ こころ」で電話やSNSの相談窓口を探せます。



























