「欧州は休みが多くて、日本は休みが少ない」のか?
日本人が「自分たちは海外より働いている」と感じるもう1つの大きな理由が休暇の取り方の違いです。
旅行会社Expediaが2024年に世界11地域、1万1580人を対象として実施した同一形式の調査によると、前年に勤務先から与えられた休暇日数の平均は、日本が19日、ドイツが29日、フランスが31日でした。
これに対して実際に取得された日数の平均は、日本が12日、ドイツが27日、フランスが29日です。
つまり、日本人の有給支給日数や実際に取った休暇日数はドイツやフランスの半分以下でした。
この調査は政府統計ではなく民間のオンライン調査ですが、日本については、厚生労働省の最新の公式統計とかなり近い数字なので信頼性は高いと予想できます。
ちなみに厚生労働省の2025年「就労条件総合調査」によると、2024年に日本の労働者へ付与された年次有給休暇は平均18.1日、実際に取得されたのは12.1日、取得率は66.9%でした。
つまり日本では、そもそも欧州の代表的な国より付与される休暇が少ない上、与えられた休暇もすべて使っていない人が多いことになります。
また制度上の最低ラインにも違いがあります。
週5日勤務を基準に揃えると、フランスでは法律上、年間25日の有給休暇が最低限保障されています。
ドイツは20日が最低ラインですが、労働協約では30日前後が一般的です。
これに対して日本では、一般的な週5日勤務の労働者の場合、入社から6カ月継続勤務するとまず10日が付与され、その後勤続年数に応じて増え、6年6カ月以上で20日になります。
したがって、「日本は長期休暇が短い」という感覚は、単なるイメージとはいえません。
欧州の各国と比較すると「ヨーロッパでは夏休みに数週間の休暇を取れるのに、日本では難しい」という印象には、かなり実態があるといえます。
ただ、米国と比べると、日本の方が休めていると考えてよさそうです。
Expediaが同じ方法で行った2024年の国際調査では、前年に実際に取得した休暇は日本が平均12日、米国が11日とほぼ同じでした。
しかも米国では、民間労働者に一定日数の有給休暇を与えることを義務づける連邦法がありません。
そのため、最終的な年間実労働時間を見ると、日本が1617時間だったのに対し、米国は1796時間と比較的長くなっています。
つまり少なくとも米国との比較では、「日本人は海外の人より休めない」というイメージは当てはまりません。
日本は祝日が多い?
こうした問題で、よく話題になるのが日本は他国と比較して祝日が多いという意見です。
実際日本はそんなに祝日が多いのでしょうか?
日本には法律で定められた「国民の祝日」が年間16日あります。
これに対してフランスの祝日は11日、ドイツは州によって変わりますがおおむね10~14日程度です。
なので日本の方が祝日は多いものの、その差は数日程度です。そのため、祝日の数では10日以上ある有給休暇の取得差を埋めることはできません。
ただ、英国の場合は少し事情が異なります。
英国では基本的に有給休暇は28日程度と定められています。ただ、法律でこの有給休暇には祝日を含めても良いというルールがあります。
イングランドとウェールズでは通常8日前後のバンクホリデー(祝日)がありますが、これは有給の一部として扱う企業もあります。
そのため実際英国では、自由に使える有給休暇は20日程度となる場合もあるようです。
また日本では「年末年始休暇」「夏季休暇」を会社休日として、有給とは別に設定している場合が多い一方、欧州ではこうした休みも有給に含める場合が多いといいます。
当然企業によって、最終的に休暇の日数がどのようになるかは幅があるため、総休暇日数がどうなるかを比較することは難しいですが、このような各国の数字を見ると、欧州ではまとめて有給を一気に使う人が多い、というだけで、特別日本と休暇の日数に大きな差があるというわけでもなさそうです。

































