放流から6年、川からメスが1匹もいなくなった

舞台となったのは、アイダホ州中部を流れる2本の小さな沢、ウィロー・クリークとベア・クリークです。
調査した区間はどちらも3キロ弱で、川幅は平均で1メートル足らずから3メートル弱。
もともと魚のいなかった沢に、外来のブルックトラウトだけが住み着いていました。
研究チームは2016年から毎年7月、2日連続で電気を流し、全長10センチ以上の野生ブルックトラウトを平均9割ほど取り除きました。
そして2018年(ウィロー)と2019年(ベア)からは、駆除の直後に超オスを放流する作業を毎年繰り返しました。
放流数はウィロー・クリークで年173匹、ベア・クリークで年619匹で、駆除前にいた野生魚とほぼ同じ規模です。
すると、放流前は4〜5割だったオスの割合が放流4年目には8割を超え、6年目にはついに100%に達しました。
2025年の調査で捕まった10センチ以上の野生ブルックトラウトは、ウィロー・クリークで5匹、ベア・クリークで31匹。
そのすべてがオスでした。
メスは、1匹も見つかりませんでした。
しかもこの時点で、川にいる超オスの数は野生のオスの10倍以上に達しています。
仮にどこかにメスが隠れていたとしても、相手はほぼ確実に超オスであり、生まれる子はやはりオスです。
研究者たちが意外に思ったのは、養殖場育ちの超オスのたくましさでした。
養殖魚は野生の川に放すと生き残りにくいのが通例ですが、超オスの年間生存率はおよそ3割で、野生のオスと大差なかったのです。
毎年の稚魚を調べると、ウィロー・クリークでは放流開始から2年で、捕れる稚魚のほぼ全部がオスになっていました。
野生魚を減らしておいたことで餌や住処の奪い合いが緩み、養殖魚が力を発揮できたのだろうと論文は説明しています。





























