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死んだ子のそばを離れなかった母クジラ

舞台は2025年7月のある朝、オーストラリア東海岸のゴールドコースト沖です。
岸から1kmほど離れた海で、体長12〜13mほどの大人のザトウクジラ2頭が、水面をゆっくりと漂っていました。
現場にいたシーワールド財団の救助船の船長アンドリュー・マルビルさんは、はじめ2頭が水面で休んでいるだけだと思ったそうです。
けれども2頭の動きはどこかいつもと違っていて、何が起きているのか分かったとき、マルビルさんは本当に驚いたといいます。
1頭は母親とみられるクジラ、もう1頭は、エスコート(母クジラのそばにつきそうクジラ)でした。
その朝、母クジラは子を産みましたが、子は死産だったとみられます。
海の底に横たわる子クジラには、動く様子も、息をする様子もありませんでした。
それでも母クジラは、子のそばを離れませんでした。
頭や胸びれで子に触れ、ときには1分以上じっと動かずに、子と目と目を合わせるように並んでいたのです。
こうした行動は、観察していた人たちが現場を離れた午前10時まで続きました。
その翌日と翌々日にも、同じ海で大人のザトウクジラ2頭が陸から目撃されています。
そのため研究者たちは、寄り添いが数日続いた可能性もある、としています。
これがなぜ気になるのかというと、クジラの仲間のあいだでも、こうした記録には大きなかたよりがあるからです。
グリフィス大学のオラフ・マイネッケ博士によると、死んだ仲間に付き添う行動は、これまで主にハクジラ(歯のあるクジラの仲間で、イルカもふくみます)で記録されてきました。
一方、ザトウクジラのようなヒゲクジラ(歯の代わりに「ヒゲ板」で小さなえさをこしとって食べるクジラの仲間)では、こうした報告はずっと少ないのです。
とはいえ、今回わかったのはあくまで1頭の母クジラの行動で、クジラがみんな同じことをするとは限りません。
それにしても、研究者たちは海の中で起きたことを、どうやってここまで細かく知ったのでしょうか?


























