クジラは「悲しむ」のか、まだ分からないこと

研究者たちは、ザトウクジラの母が子を失ったとき、悲しみを感じている可能性がある、としています。
ただし、それはまだ可能性の段階です。
こうした場面はめったに目撃されないので、研究者たちは、母の愛着なのか、悲しみに似た反応なのか、それとも別の心の動きなのかを見分けるには、ていねいな記録が大切だとしています。
実は、ザトウクジラの母が死んだ子のそばにいたという話は、アメリカのカリフォルニアの海などから、SNSやニュースで伝えられたことがありました。
けれども、どちらも確かめられてはいませんでした。
今回の記録は、ヒゲクジラで死んだ子が確認された、数少ない例の1つに加わります。
研究者たちが近くの海の記録も集めたところ、2025年7月には、北はクガリ島から南はバリナまでの海で、生まれたばかりのザトウクジラの子7頭と、年齢のはっきりしない若いクジラ1頭が死んでいるのが見つかっていました。
研究者たちは、こうしたまれな状況を、これからも決まったやり方で記録し続ける必要があると訴えています。
そうすることで、大きなクジラが死とどう向き合っているのか、その行動が心や進化の上でどんな意味を持つのかが見えてくるはずだ、というわけです。
人間以外の動物が死にどう反応するかを知ることは、その動物の心や、仲間とのきずな、考える力を知る手がかりになります。
海の底の子を見つめていた母クジラの胸の内は、いまのところ、まだ誰にも分かりません。
クジラ語の辞書ができるまで、私たちにできるのは、少し離れて静かに見守ることくらいなのかもしれません。


























