肝臓で大きな差をつけた食事法はどれか

結論から言うと、肝臓で最も大きな改善を見せたのは、糖質を極端に減らしたケトン食でした。
肝臓はどの食事でもインスリンに反応しやすくなりましたが、その改善の幅はケトン食で2〜3倍も大きかったのです。
肝臓にたまった脂肪の減り方にも、はっきりした差が出ました。
5か月後、ケトン食のグループでは肝臓の脂肪が67%減ったのに対し、ほかの2つのグループではそれぞれ45%の減少でした。
肝臓が脂肪を新しく作り出す働きも、ケトン食で最も大きく下がっていました。
血糖値でも、同じような差が見られました。
24時間にわたって測った血糖値は、ケトン食でははじめより20%下がり、ほかの2つではそれぞれ8%の低下にとどまりました。
1日を通したインスリンの量は、ケトン食で74%、地中海食で44%、炭水化物の多い食事で27%減っていました。
ケトン食では糖質をほとんどとらないため、血糖値をおさえるのに必要なインスリンが少なくてすみ、すい臓(インスリンを作る臓器)が作る量も減るからです。
さらに、試験のあいだに糖尿病予備群から抜け出した人は、ケトン食で半数、地中海食で29%、炭水化物の多い食事で7%でした。
一方で、血液中のLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)や、24時間にわたって測った血液中の中性脂肪などでは、3つのグループのあいだに差はありませんでした。
つまりケトン食の強みは、とくに肝臓の働きと血糖の調整に表れていたのです。
研究の筆頭著者であるピーターセン氏によると、脂肪肝は世界の肥満の大人のおよそ75%に見られ、慢性の肝臓病や肝硬変の原因として最も速く増えているといいます。
そのため今回の差は、脂肪肝が広く見られる肥満の人にとって、とくに大きな意味を持つ可能性があります。
ただし、ほかの2つの食事が効かなかったわけではありません。
3つの食事のどれでも、痩せたことによって体の状態は良くなっていました。
ピーターセン氏は「ほどほどの減量でも、代謝(体が糖や脂肪を処理する働き)に問題を抱えた人には一様に役立つ」と述べたうえで、「食事の選び方は、体重を減らすこと以上の健康の結果に影響するので、やはり大切だ」と話しています。
なお今回の結果は、肥満に加えて糖尿病予備群と脂肪肝をもつ55人を、食事をすべて用意し栄養士が支えるという条件で、約5か月調べたものです。
体重計の数字が同じでも、体の中で起きている変化まで同じとは限りません。
減量で大切なのは「何キロ痩せたか」だけでなく、「何を食べて痩せたか」でもあるのかもしれません。
とはいえ、目の前のラーメンに「きみは私の肝臓に何をするつもり?」と問いかけ始めたら、食事の楽しさまで減ってしまいそうです。





















