人間は「息を吸うとき」より「吐くとき」のほうが反応速度が速いと判明
人間は「息を吸うとき」より「吐くとき」のほうが反応速度が速いと判明 / Credit:Canva . 川勝康弘
brain

人間は「息を吸うとき」より「吐くとき」のほうが反応速度が速いと判明

2026.09.30 18:00:20 Wednesday

アメリカのノースウェスタン大学(UN)の研究で、人は息を吸っているときよりも、吐いているときのほうが合図に速く反応できることが明らかになりました。

反応が最も遅かったのは、息を吸い込む勢いがピークに達するあたりで、最も速い瞬間との差は約41ミリ秒になったことも示されました。

100メートル走の一流選手どうしのスタート反応のばらつきは約30ミリ秒であることを考えると、数十ミリ秒の反応の遅れは無視できない差になります。

研究チームは、呼吸のリズムが、注意を保ち続ける場面で反応の速さに波が生まれる一因だと考えています。

研究内容の詳細は2026年9月28日に『iScience』にて発表されました。

Ready, set, exhale: Study links respiration and cognition Scientists discover response speed is measurably faster when exhaling than inhaling https://news.northwestern.edu/stories/2026/09/ready-set-exhale-study-links-respiration-and-cognition?fj=1
Response speed is modulated by respiratory phase https://doi.org/10.1016/j.isci.2026.117535

吸うときと吐くときで人間の反応速度は変るのか?

吸うときと吐くときで人間の反応速度は変るのか?
吸うときと吐くときで人間の反応速度は変るのか? / Credit:Canva . 川勝康弘

信号が青に変わってからアクセルを踏むまでにも、ゲームで敵が飛び出してからボタンを押すまでにも、わずかな時間がかかります。

体調も練習量も変わっていないのに、反応の速さには波があります。

定番の説明は「集中力」です。

集中していれば速く、気が散っていれば遅れやすい、というわけです。

けれども反応の速さは、数十分や数時間だけでなく、数秒ほどの短い間にも変わります。

そんな短い周期で繰り返す体の働きとして、研究者が注目してきたのが呼吸です。

呼吸は、脳に酸素を届けるために欠かせません。

ただ、酸素が十分に届いているなら、吸っているか吐いているかまでは、頭の働きに関係なさそうに思えます。

しかしこの10年ほどで、その見方に合わない証拠が積み上がってきました。

実際、覚えたことを思い出す正確さや、顔に表れた感情を見分ける速さは、息を吸っているときのほうが良いと報告されてきました。

ところが、合図が来たら素早く反応するだけの単純な課題では、研究によって結果が食い違っていました。

1965年の報告では、音の合図に対する反応は、吐くときや、呼吸の合間の休止中のほうが速いとされました。

1974年の報告では逆に、その2つの段階では反応が遅いとされています。

1991年の報告では、自然に呼吸している場合、呼吸の段階による差はないという結果でした。

この問いは1928年にはもう論文になっていましたが、100年近くたっても答えはそろっていなかったのです。

特に画面の色が変わるような、目で捉える合図についても、呼吸のどの段階で速く反応できるかは、はっきりしていませんでした。

そこで研究チームは、吸う・吐く・その合間の休止という呼吸の段階ごとに、反応の速さを測ることにしました。

次ページ反応時間に41ミリ秒の差

<

1

2

3

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

脳科学のニュースbrain news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!