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漁業が魚類に「急速な進化」を引き起こしていたことが判明

2019.08.06 Tuesday

Credit:pixabay

Point

■商業的に漁獲されていた魚に、急速な進化を引き起こす遺伝子変化が発見された

■漁獲されている魚の多くが、ここ数十年の間に、成長と成熟が遅くなっている

■これは成長の遅い小さい魚ほど、網から脱出しやすく、遺伝子を次世代へ残しやすいことが関係していると考えられる

生物の進化は数千年、数万年という時間的スケールで緩やかに進むものというイメージがあります。

しかし、実際の進化は、非常に短期間で起こる可能性があるのです。

その一例が漁獲対象とされている魚たち。商業価値のある魚類は、ここ数10年の間に成長が遅くなり、漁獲量の低下に繋がっている可能性があると指摘されています。そして、そんな急速な変化を起こしている理由が、強い収穫圧力にあるというのです。

この研究は、ノルウェー国立ベルゲン大学の研究者により発表され、8月2日付けで科学誌Scienceに掲載されています。

漁師の網から逃げるための進化

成長が遅くなっていると言われる理由は、未成熟の状態を保つことで漁師の網から逃れ、子孫を残しやすくできるためだと言います。

確かに、進化論としては理に適った説明に思えますが、実際そんなことは本当に起こっているのでしょうか?

研究者たちは、2002年からこの問題について調査を開始しており、体長が15cmほどの大西洋に住むシルバーサイドという魚を使って実験を行っています。

Atlantic silversides.日本で言うとシシャモやワカサギに近い魚。/©2019 Barnegat Bay Partnership

この実験では、シルバーサイドをいくつかのグループに分け、あるグループからは最大の個体を定期的に取り除いていきます。別のグループでは、最小の個体を、そして最後のグループではサイズは無視してランダムに個体を取り除くという作業を繰り返していきました。

すると4世代後には、成魚のサイズにほぼ2倍近い差が生じたのです。

この僅かな期間に生じた群れの顕著な変化が、いかなる要因から起こっていることなのか、研究者チームはこれらの魚たちから900近いゲノム調査を行ったのです。

その結果、数100の遺伝子が、グループごとに一貫して変化していることが明らかになりました。また、一斉に大きな変化を起こす連鎖遺伝子も観察され、数100の遺伝子の発現を同時に大きくシフトさせていたのです。

こうした研究は、人間が周囲の種に対する影響の調査や、進化の適応速度を知る上で非常に有用なものだと、今回の実験研究者は述べています。

実験でわずか4世代で変化が起きるというのは、生物の進化が想像以上に速いペースで発生する証明と言えます。魚の漁獲で、魚の成長速度に変化が現れ、個体の大きさに影響が出るとなると、「部屋の台所で新種の生命を見つけた!」的な世迷い言もあながち馬鹿にはできないのかもしれません。

泳げない金魚のために「車椅子」を作った男性

reference:zmescience/ written by KAIN

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