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奇跡の実話。死ぬ運命の子供6500人を1人で救った「ニセ医者」

2019.10.18 Friday

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未熟児を抱くマーティン氏/Credit:New York Public Library

真の「医者」とは、どのような人のことを言うのでしょう。偏差値の高い医学部を卒業して、医師免許を取得した人のことでしょうか。

しかし、その道を通らずに、多くの命を救った男性がいます。その人物の名は、マーティン・カウニー医師。

彼は正式な医師免許を持っていないにもかかわらず、死ぬ運命にあった多くの未熟児をたった一人で救いました。

これは、1930年代におけるアメリカ小児医療の価値観を変革したニセ医者の奇跡の物語です。

見捨てられていた「未熟児」たち

1930年代の医療界では、未熟児が生まれると、病院は延命措置をせず、死ぬに任せていました。

自身も未熟児として産まれた女性によると、「病院の医師たちは、私を助けようとはしませんでした。それはただ『この世にそぐわないから、あなたは死ぬ運命にある』といった具合です」。

しかし、そのような未熟児を救った人物こそが、マーティン・カウニー医師。当時、死にゆく運命にある6500人以上の未熟児を、彼は自身の元で預かったのです。

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保育器を示すマーティン氏/Credit:New York Public Library

しかしマーティンは、医師の資格を持っていないニセ医者でした。

資格は持っていなかったものの、彼は生前、「私は、小児科の名医ピエール・コンスタント・ブーダンの弟子だった」とよく口にしていたそうです。

マーティン氏は、未熟児として産まれただけで延命措置もしない当時の医療界に、大きな怒りを抱いていました。彼が師事していたというブーダン医師は、未熟児のための保育器を普及させた人物でもあります。彼はその遺志を引き継いでいたのでしょう。

そこで彼は、現代では考えられない奇策に打って出ます。

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