- 超音波で共鳴振動を起こすことで癌細胞を破壊する方法が開発された
- 癌細胞の細胞骨格を振動により破壊し癌細胞を溶かす
高周波数の音波は大きなエネルギーを持っており、これまでの技術でも当てさえすれば音で癌細胞を殺せました。
しかし、高エネルギーの超音波は癌細胞だけでなく、健康な細胞も殺してしまいます。
そこで研究者たちは癌細胞だけが持つ構造特性に的を絞って固有振動数を特定することで、癌細胞だけを破壊する方法を開発しました。
しかし、そもそも固有振動数や共鳴とは、いったいどんな現象なのでしょうか?
そして音波の「何」が、癌細胞の「何処」を攻撃して、最終的に癌細胞は死に至ったのでしょうか?
http://dx.doi.org/10.1063/1.5100292
共鳴の正体
全ての物体は自分だけのリズムで振動をしています。
楽器の弦や管楽器の金属だけでなく、原子核もDNAもタンパク質も、実は目に見えないスケールで細かく震えているのです。
自分と異なるリズムは命中した後は薄れていってしまいますが、同じリズムの振動を外部から供給されると、物体の震えは増幅され、さらに過剰に供給されると、物体は振動に耐えられなくなり破壊されてしまいます。
物体固有のリズムを固有振動数、外部要因で固有振動数が増幅され、物体が軋み震え始める現象を共鳴といいます。
研究者たちは、癌細胞の中にある何かを共鳴させ続けることができれば、破壊できるのではないかと考えました。
もしかしたら細胞のなかに弦のように振動してくれる構造物があるのでしょうか。