ホスフィンとはなんなのか?
ホスフィンはリン化水素(PH3)とも呼ばれるリンと水素の化合物です。無色で悪臭(魚の腐ったような臭い)があり、有毒な化学物質ですが地球大気中にもわずかながらに含まれています。
地球ではホスフィンは、嫌気性バクテリアが生成しています。鉱物や生物由来のリン酸塩をバクテリアが吸収して、水素を加えて排出するのです。
もちろん、ホスフィンは生物以外の要因で自然発生することもあります。木星のような巨大ガス惑星にも大気中に含まれますが、木星のような極端な環境でない場合、その生成量はごく僅かです。
今回の研究でも、ホスフィンが生成される量を、太陽光の影響、火山活動、地表から飛ばされる鉱物や稲妻など非生物的な要因で計算しましたが、それは観測された分量の1万分の1程度にしかなりませんでした。
観測されたホスフィンの量は、非生物的な要因では説明することができないのです。
つまり、観測された濃度(20ppb)の金星大気中のホスフィンの供給源は、地球と同様にバクテリアである可能性が非常に高いと考えられるのです。