50年間氷漬けにされていたペニシリンの元祖であるアオカビが再び蘇った背景とは?
50年間氷漬けにされていたペニシリンの元祖であるアオカビが再び蘇った背景とは? / Credit:インペリアル・カレッジ・ロンドン
fungi

世界初の抗生物質「ペニシリン」の元になったアオカビのDNA配列がやっと解読される!発見当時から”遺伝子が変異していた”という驚きの結果 (2/3)

2020.09.30 Wednesday

前ページオリジナル型と大量生産型

<

1

2

3

>

なぜ今頃になってオリジナルのDNA解読が行われたのか?

ペニシリンは細菌が細胞壁を作るのを邪魔して生きられないようにする
ペニシリンは細菌が細胞壁を作るのを邪魔して生きられないようにする / Credit:ナゾロジー

しかしどうしてイギリスの研究者たちは、長年放置されてきたDNA配列の解読を今頃になって行ったのでしょうか?

インペリアル・カレッジ・ロンドンはイギリスでも指折りの名門校であり、数多くの優れた研究結果を世界に発信しています。

そんな優秀な研究者たちが、50年間に渡り冷凍保存されていたオリジナルのアオカビに着目した理由は…実はスーパーバグとの戦いにありました。

全ての抗生物質に対して耐性を持つスーパーバグは、人類の健康維持にとって致命的な存在です。

しかしながら人類が抗生物質を乱用した結果、いまやスーパーバグに近い病原菌は身近に迫る存在になってしまいました。

そのため、人類は感染症に対して再び、ペニシリン発見以前の状態に戻りつつあるのかもしれません。

今回、長年冷凍保存されていたオリジナルのアオカビのDNA配列が注目されたのも、初心に帰らざるをえなくなった人類が、再びアオカビから学ぼうとした結果だったのです。

次ページアオカビの進化を利用してスーパーバグに対抗する

<

1

2

3

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

菌のニュースfungi news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!