生きたウィルスを使う「生ワクチン」とウィルスはいない「不活化ワクチン」
生ワクチンは病原性を弱めて無力化した生きたウィルスを使うワクチンです。
当然生きているので体内で増殖したりしますが、病原性を失っているため病気を発症することなく身体がウィルスに対する抗体を作ることができます。また、生きたウィルスを使っているのでしっかりした抗体が作れます。
麻疹(麻しん)ワクチンは生ワクチンの代表で、2回の予防接種で生涯免疫が作れるとも言われています。また、一時期コロナウィルスに有効なんじゃないかと言われたBCG(結核菌)ワクチンも生ワクチンです。
一方、不活化ワクチンは、生きたウィルスは含んでいないワクチンです。病気の問題となる成分だけを抜き取って作られているワクチンで、こちらも安全に抗体を作ることができます。
ただ、不活化ワクチンは部分的な成分しかなく、生きたウィルスを直接含んでいないため、免疫の効果期間が短く、きちんとした抗体を作るためには、複数回予防接種を受ける必要が出てきます。
日本脳炎ワクチンはこの不活化ワクチンです。なので日本脳炎の予防接種は4回くらい受けるのが通常です。
インフルエンザワクチンも不活化ワクチンです。
こうして聞くと、生きたウィルスを使う生ワクチンの方が効果が高そうで良いようにも感じます。しかし、生ワクチンには危険も潜んでいます。
映画「ジュラシック・パーク」などのように自然の生き物をいくら人間が無力化させて安全に管理していると思っていても、彼らは活路を見出して人間たちに反抗することがあります。
生ワクチンのウィルスも、ときに変異を起こして本来の病原性を取り戻すことがあるのです。稀にワクチンを打ったら病気が発症してしまったというのも、この変異が原因です。
こうした生ワクチンの問題は、現在でもポリオワクチンの使用で表面化しているといいます。