特定の腸内細菌が異常を引き起こす
近年になって腸内細菌が、わたしたちの脳(精神)に深くかかわっていることが明らかになってきました。
精神的な影響が腸にあらわれるように、腸内環境もまた脳に影響を与えていたのです。
しかし既存の研究は腸内環境全体を対象としており、特定の菌種がどのように精神に影響しているかは、あまり詳しく調べられていませんでした。
そこでアメリカ・ソーク研究所の研究者たちは、数多くの腸内細菌の中から1種類ずつをマウスに感染させ、経過を観察するという、非常に地道で時間がかかる実験に取り組んできました。
結果今回、大腸菌「O16」(O16:H48 MG1655O16)を与えたマウスに奇妙な現象を発見しました。
O16に感染した母親から生まれた子どもが、異常なほど痩せていたのです。
そのため研究者ははじめ、O16が母乳の質に悪影響を与えていると考えました。
しかし母乳をいくら調べても、正常なマウスとの違いはみつかりません。
そこで研究者たちは感染した母親マウスの行動を、詳細に観察することにしました。
すると、意外な事実が判明します。