宇宙の大規模構造の動きを調査する
私たちから見て、宇宙の星たちは無秩序に散らばっているように見えます。
しかし、実際はある決まった場所にだけ集中していて、それ以外はほとんどなにもない無の空間(ボイド)となっているのです。
これは宇宙の大規模構造と呼ばれていて、まるで脳内のニューロンのようなネットワークを形成しています。
大規模構造の細い紐状につながった部分をフィラメント状構造(あるいは単にフィラメント)と呼びます。
このフィラメントは長さが数億光年、直径は数百万光年あり、銀河団はこのフィラメントに沿って存在しています。
巨大な銀河団よりさらに巨大な構造、銀河団をつなげる道がこのフィラメントなのです。
理論家のマーク・ネイリンク(Mark Neyrinck)博士は、このフィラメントが回転しているのではないかという大胆な説を提案していました。
今回の研究チームのリベンスキンド氏は、この考えに触発されて実際にフィラメントを調べてみたのです。
そこで研究チームは、数十万個の銀河を対象にした掃天観測プロジェクト「スローンデジタルスカイサーベイ(SDSS)」のデータを用いて、この巨大なフィラメントにおける銀河の動きをマッピングしていきました。
このとき彼らが着目したのは、銀河が地球に対して近づいたり遠ざかったりする動きのパターンでした。
そして、ここからフィラメントが螺旋状に回転しているという事実を発見するのです。