大規模な螺旋を描くフィラメント状構造
これは今回の発見を示したイメージ画像です。
フィラメントの中に無数の銀河団が描かれていて、一番手前に描かれたフィラメントは赤と青の2色に塗られています。
この2色は光のドップラー効果を表していて、銀河団の地球に対する動きを表現しています。
光は波なので、音と同じようにドップラー効果を起こします。
私たち向かって動く物体の光は波長が縮んで青に近づき(青方偏移)、私たちから遠ざかる物体の光は波長が伸びて赤に近づきます(赤方偏移)。
フィラメントを観測したとき、銀河団の動きは、まさに片方が近づき、片方は遠ざかるような螺旋を描いて回転する特性を見せたのです。
それはほぼ毎秒100キロメートルの速さで回転していました。
宇宙を支配する回転の源が、このフィラメントの回転であるのかどうか、なぜフィラメントが回転するのか、それはまだ明らかではありません。
しかし、これだけ巨大な構造さえもが宇宙では回転しているという事実は、初めての発見です。
フィラメント状構造は、初期宇宙の物質の密度の差異が拡大して出来上がったものです。
初期宇宙自体が回転していたという事実はありません。つまりフィラメントは構造が形成される過程で、なぜか螺旋に回転をはじめたことになります。
それは一体いかなる理由によるものなのでしょうか?
銀河の回転が、このフィラメントの巨大な回転に影響されていることは確かです。
宇宙の存在が回転する謎。その秘密がここには隠されているのかもしれません。
しかし、その理由が明らかになるのは、まだ先の話になるでしょう。