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chemistry

極寒の南極で「空気中の水素をエサにして生きるバクテリア」を発見

2021.11.16 Tuesday

エネルギーとして得るものが何もなく、乾燥して細胞を維持することさえ困難な環境にも数多くのバクテリアが存在しています。

彼らはいったいどうやって生きるためのエネルギーを得て、細胞を維持しているのでしょうか?

南アフリカのプレトリア大学(UP)の研究チームは、東南極の凍土に潜む451種類のバクテリアを調査し、そのほとんどが空気中の水素を燃料とし、副産物として水を生成していることを明らかにしました。

また遺伝子解析から、これらの細菌は10億年前にこのような形態に分岐したこともわかったといいます。

人間が水素をエネルギー源として活用し始めたのはつい最近のことですが、南極に住むバクテリアは10億年前からそれをしていたようです。

研究の詳細は、11月9日付で科学雑誌『米国科学アカデミー紀要(PNAS)』に掲載されています。

Antarctic bacteria live on air and make their own water using hydrogen as fuel https://theconversation.com/antarctic-bacteria-live-on-air-and-make-their-own-water-using-hydrogen-as-fuel-171808
Multiple energy sources and metabolic strategies sustain microbial diversity in Antarctic desert soils https://www.pnas.org/content/118/45/e2025322118

極限の環境で生きる微生物

調査が行われた南極の凍土。乾燥して水分はなく冬は一日日が当たらないため草木一本存在しない。
調査が行われた南極の凍土。乾燥して水分はなく冬は一日日が当たらないため草木一本存在しない。 / Credit:Ian Hogg/theconversation,Antarctic bacteria live on air and make their own water using hydrogen as fuel(2021)

今回調査が行われたのは、東南極にあるマッケイ河の北にある氷のない砂漠の土壌です。

ここは常に気温がゼロ未満であり、冬は一日真っ暗で日が差しません。

極寒の大気が土壌の分を奪ってしまうため、非常に乾燥していて高等な植物や動物が生きることはまず不可能な地域です。

しかし、そんな過酷な環境であるにも関わらず、この場所では1グラムの土壌から数百種類もの細を見つけることができ、彼らはそこで独特で多様な生態系を作って繁栄しています。

これらの微生物群は、なぜこんな環境でも暮らしていくことができるのでしょうか?

これを明らかにするため、今回の研究チームは南極の凍土に潜む451種類のバクテリアの調査を行いました。

すると、土壌細菌の4分の1以上が、RuBisCO(ルビスコ)と呼ばれる酵素を生成することを発見しました。

ルビスコは、植物が光合成によって、空気中の二酸化炭素を有機物に変換する際に重要な役割を果たす酵素です。

つまり光合成するために重要な酵素ですが、南極凍土に潜むバクテリアの99%は、太陽光に適切に当たることができないことがわかりました。

光がなければ光合成はできません。

そこで彼らは光合成の代わりに、化学合成というプロセスを行っていたのです。

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