見過ごされがちな「手指のチカラ」と健康寿命の深い関係

健康に長く自立した生活を送るには、転倒しない体づくりや足腰の筋力アップが大事。
そう語られることが多いですが、本当にそれだけで十分なのでしょうか。
実は私たちは毎日、食事、料理、歯磨き、衣服の着替え、薬の服用など、手や指先を細かく使う動作に支えられて生きています。
高齢になると、歩行や立ち上がりといった“下肢機能”が低下しやすいことはよく知られていますが、「手指機能」もまた、加齢とともに少しずつ衰えていきます。
「手指の動きが衰えても、足腰さえしっかりしていれば大丈夫」と思われがちですが、実際には手指の巧緻性が落ちると、日常生活のさまざまな動作で困難が生じます。
たとえば、ボタンを留める・箸を使う・歯ブラシを持つといった動作が難しくなると、食事や身だしなみなど自分のことを自分で行う“自立生活”に支障をきたしやすくなります。
この点に注目し、茨城県笠間市で約1,000人の高齢者を最長14年間にわたり追跡した最新研究では、手指機能が低い人ほど、将来的に「要介護」になるリスクが明確に高いことが判明しました。