健康寿命を伸ばす「指先の機能」
では、手指機能がどの程度低下するとリスクが高まるのでしょうか。
研究では、参加者の「手指機能」を2つのテストで評価しました。
ひとつは“ペグ移動時間”という手作業の速さを測る方法。
もうひとつが“丸付け課題”と呼ばれるテストです。
これは、15秒間で数字一覧表の数字をいくつ丸で囲めるかを計る、ごくシンプルなものです。
この「丸付け課題」で15秒間に21個以上丸を付けられるかどうかが、健康寿命を大きく左右する「分かれ道」だと判明しました。
もし20個以下しか丸を付けられない場合、要介護リスクが約1.5倍に跳ね上がります。
さらに、ペグ移動時間が38秒以上かかる場合はリスクが約2倍に。
つまり、手や指先の巧みな動きを、一定の水準(丸付け課題なら21個以上)で保つことが、健康寿命の“セーフライン”となっていたのです。
一方で、この水準を上回ったからといって、さらにリスクが大きく下がるわけではなく、あくまで“最低限の維持”が重要であることも明らかになりました。
この課題は特別な道具も必要なく、自宅でも簡単に実施できます。
もし測ってみて基準に届かない場合は、日常のなかで意識的に指先を使う作業(例えば折り紙や裁縫、楽器、簡単な工作など)を取り入れてみるのも効果的です。