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psychology

嘘をついている人は時系列を逆で話すことが難しい【嘘を見抜くテクニック】

2026.02.22 12:00:43 Sunday

相手の話が何となく怪しい……。

浮気を疑ったり、遅刻の言い訳など、話しの嘘を疑うとき、私たちは無意識に相手の視線の揺れや、そわそわとしたしぐさを探してしまいがちです。

しかし、実はこうした「不審な仕草」から嘘を見抜くことは、心理学の世界では非常に困難であるとされています。

実際、過去50年間にわたる膨大な研究データを分析すると、人が嘘を正しく見抜ける確率は平均して54%ほど、つまりコイン投げの的中率と大差ないという結果が出ているのです。

では、嘘を暴くためのより効果的な手がかりはどこにあるのでしょうか。

イギリスのポーツマス大学(University of Portsmouth)のアルダート・フレイ(Aldert Vrij)教授らは、従来の「緊張や不安」といった嘘をつく際の感情に注目する手法に代わり、嘘をつく際の「脳の負担」に着目したアプローチを提唱しました。

彼らが目指したのは、嘘つきの頭の中を「キャパシティオーバー」の状態に追い込むことで、隠しきれない不自然さを引き出すという戦略です。

その具体的な手法の一つとして検討されたのが、出来事を「時系列の逆順」で話してもらうという、脳の認知負荷を利用したものでした。

Outsmarting the Liars: Toward a Cognitive Lie Detection Approach https://doi.org/10.1177/0963721410391245 Increasing cognitive load to facilitate lie detection: the benefit of recalling an event in reverse order https://doi.org/10.1007/s10979-007-9103-y

嘘をつく脳を「ビジー状態」にする戦略とは

研究者たちが問題視したのは、一般に信じられがちな「嘘は態度に出る」という考え方が、研究データでは当てになりにくい点です。

嘘をついていない人でも、疑われれば緊張しますし、過去の出来事を思い出しながら説明するだけでもかなり頭を使うからです。

つまり、話をする態度や仕草に着目しても、「嘘のせい」なのか「状況のせい」なのかを見分けにくいのです。

そこで研究者たちは、相手に余計な課題を課して、嘘をつくときの負担を意図的に増やし、嘘を維持しにくくするという方法を試すことにしました。

心理学では、この脳にかかる負担のことを認知負荷(Cognitive Load)と呼びます。

人は本当のことを話すときは、基本的には体験を思い出して説明するのが中心ですが、嘘をつくときは非常に複雑な複数の作業を同時にこなさなければなりません

嘘をついている人の脳内では、まず「矛盾のない物語」をその場で作り上げる作業が行われます。

それと同時に、自分の話が相手の知っている事実と食い違っていないかを常にチェックしなければなりません。

さらに、自分が疑われていないか相手の反応をうかがい、なおかつ「いかにも潔白であるかのような態度」を演じ続ける必要があります。

このように、嘘つきの脳は複数のタスクが重なった、言わば「情報の渋滞」が起きている状態なのです。

そこで研究者たちが注目したのが「逆順で話してもらう」という方法です。

記憶を頼りに話をする場合、時系列通りに話しても、時系列を逆に辿って話してもさほど難しいことではありません。

しかし、あらかじめ創作した嘘のシナリオや、その場の取り繕いでついた嘘などは、あえて最後から最初へとさかのぼる逆順(Reverse order)で話すことは非常に難しく、記憶を頼りに話す場合より脳の処理能力ははるかに高くなります。

すでに「嘘を維持する」ことで脳がいっぱいになっている嘘つきにとっては、この追加の負担は致命的なミスを生む要因となります。

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