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ハイドロゲル製の微小球と肝細胞を混ぜ、体内に注入。肝機能を補助する。 / Credit:Vardhman Kumar(MIT)et al., Cell Biomaterials(2026) , CC BY 4.0
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「ミニ肝臓」を注入する新技術、移植を待つ人の希望へ

2026.03.11 06:30:53 Wednesday

アメリカでは慢性肝障害を患う1万人以上が、肝移植を待っています。

ですが、提供される臓器は足りず、待機中に状態が悪化してしまう人も少なくありません。

さらに肝移植は大がかりな手術であるため、体力の低下した患者では受けたくても受けられない場合があります。

こうした状況を変える可能性のある新しい治療法を、アメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)を中心とする研究チームが提案しました。

研究者たちは、肝臓そのものを入れ替えるのではなく、肝細胞が体内で働ける小さな補助組織を注射で作り、弱った肝臓の機能を支えるという新しい方法を開発したのです。

この研究成果は2026年3月3日付の学術誌『Cell Biomaterials』に掲載されました。

MIT’s “Satellite Livers” Can Be Injected Directly Into the Belly and Save Patients Needling Transplants https://www.zmescience.com/science/mits-satellite-livers-can-be-injected-directly-into-the-belly-and-save-patients-needling-transplants/ Injectable “satellite livers” could offer an alternative to liver transplantation https://news.mit.edu/2026/injectable-satellite-livers-could-offer-alternative-liver-transplantation-0303
Image-guided injectable niche for hepatocyte transplantation https://doi.org/10.1016/j.celbio.2026.100378

注射で体内に作る「補助の肝組織」

人間の肝臓は、毒素の分解、薬の代謝、血液凝固に関わる物質の産生など、数百におよぶ重要な働きを担っています。

これまでは「悪くなった肝臓」に対して、「丸ごと置き換える」という肝移植が行われてきましたが、提供される臓器には限りがあります。

そこで研究チームは、病気の肝臓はそのまま残し、体の別の場所に補助的な肝組織を「足す」というアイデアを採用しました。

肝臓の働きの主役となるのが肝細胞なので、これを足すというわけです。

肝臓そのものが硬く傷んでいる患者では、もともとの肝臓の中に新しい細胞を定着させるのは簡単ではありません。

また、肝細胞をそのまま体内に注射しても、細胞はばらばらに散ってしまい、うまく血管とつながれず、十分に生き残れません。

そこでMITの研究チームは、肝細胞に「住む場所」を用意するという発想を取り入れました。

研究ではまず、ヒト肝細胞と線維芽細胞を小さな塊にしたうえで、それをハイドロゲル製の微小な球と混ぜます。

この微小球は、注射器の中では流れやすく、体内に入ると互いに集まってスポンジ状の足場を作る性質を持っています。

マウス実験では、この混合物を超音波で位置を確認しながらマウスの腹腔内の脂肪組織へ注入しました。

この部位が選ばれたのは、過去の研究から、皮下よりも腹腔内の脂肪組織のほうが肝細胞の生存に向いていることが示されていたからです。

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ハイドロゲル製の微小球と肝細胞を混ぜ、体内に注入。ミニ肝臓が作られる / Credit:Vardhman Kumar(MIT)et al., Cell Biomaterials(2026) , CC BY 4.0

注射された微小球はその場にとどまり、内部に空間のある足場を作りました。

そこへ宿主側の血管が入り込み、移植された肝細胞が栄養を受け取れる環境が整っていったのです。

その結果、肝細胞は単に生き残るだけでなく、血液中にヒトアルブミン(血液中で栄養や薬物などを運ぶ代表的なタンパク質)を分泌するなど、肝細胞らしい働きを保っていることが確認されました。

さらに組織を詳しく調べると、肝細胞の特徴を示す指標も保たれており、足場の中でまとまった組織様の構造ができていました。

つまりこの方法は、単なる「細胞注射」ではなく、体内で働ける小さな移植用の居場所(細胞が定着して働ける環境)を作る技術として機能したのです。

では、この実験は私たちにどんな希望を与えてくれるのでしょうか。

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