ポジティブな化学者が生んだ「プラスチック」
今や社会問題の筆頭にあげられる「プラスチック」も化学者の失敗から生まれました。
それは1907年のことです。
当時、世界的に「シェラック」という樹脂が不足していました。
シェラックは、カイガラムシという昆虫が分泌する天然樹脂を精製したものであり、木材の保護や食品のコーティングに使われます。
そこでベルギー生まれの化学者、レオ・ベークランドは、フェノールとホルムアルデヒドを混ぜて人工樹脂を作ってみました。
ところが、できあがったのは出来損ないのパン生地のような茶色い塊です。
しかし、もともと楽観的な性格のベークランドは、それを捨てることなく型に流し込んでみました。
すると、自由に形を整えられ、熱を加えると耐久性の高い材料となることがわかったのです。
これが世界初の人工的に合成されたプラスチックでした。
彼はそれを「ベークライト」と名付けて商品化し、大成功しています。
ベークライトは、テレビのケースやキッチン用品、子どものおもちゃまで幅広く使用されました。