DNAは「お手本をなぞって」作る、というのが常識だった

生物の授業を思い出してみてください。
DNAの複製について、先生はだいたいこんなふうに説明したはずです。
「はしご状のDNAが、真ん中でパカッと割れて2本になる。そのそれぞれがお手本になって、相手をコピーしていくんだよ」
そして必ずセットで教わるのが、「AにはT、GにはCしかくっつかない」という鍵と鍵穴のような絶対ルール。
お手本の文字列を、1文字ずつ相方に翻訳していく――これがDNAの作り方の大原則でした。
この仕組みが解明されてから半世紀以上、教科書はずっとこう書いてきました。「長いDNAを規則正しく作るには、お手本となる核酸(DNAかRNA)が必要である」と。
これは生命の情報伝達を支える、ほとんど揺らいだことのないルールでした。
ところがスタンフォード大学のアレックス・ガオ博士のチームは、細菌の中に、このルールを堂々と破っている酵素を見つけてしまったのです。
その酵素は、お手本を一切使わずに、自分自身の体の形だけを頼りに、正確なDNA配列を作り出していました。
ガオ博士は素直に驚きを口にしています。
「これは本当に驚きでした。生命がDNAを作る、根本的に新しい方法です」と。































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