「DNAはお手本を見ながら作る」という生物の大前提が、細菌の中で破られていた――アミノ酸が文字代わりに
「DNAはお手本を見ながら作る」という生物の大前提が、細菌の中で破られていた――アミノ酸が文字代わりに / Credit:Canva
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「DNAはお手本を見ながら作る」という生物の大前提が、細菌の中で破られていた――アミノ酸が文字代わりに (3/4)

2026.04.21 19:30:32 Tuesday

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アミノ酸が「文字のフリ」をしてDNAの鋳型になっていた

アミノ酸が「文字のフリ」をしてDNAの鋳型になっていた
アミノ酸が「文字のフリ」をしてDNAの鋳型になっていた / Credit:Canva

Drt3bの作業場を詳しく調べると、特定のアミノ酸が、本来そこにあるはずだった”お手本の文字”の代役を演じていたのです。

アミノ酸というのは、タンパク質を作る小さな部品のこと。

私たちの髪も筋肉もアミノ酸からできています。

Drt3bの中では、そのアミノ酸のうち2つが主役を演じていました。

ひとつは「グルタミン酸26番」。

このアミノ酸の先っぽの形が、ちょうどDNA塩基のAを呼び寄せるのにぴったりな形をしていたのです。

つまりDrt3bは、自分の体の中に偽物の”塩基”を仕込んでおいて、それを目印にして本物のAを引き寄せる、という荒業を身につけていました。

Aが置かれたあとは、今度は「アルギニン253番」という別のアミノ酸などが、次のCを呼び寄せる役目を担っていると考えられています。

こうしてアミノ酸たちが交代で主役を演じることで、「A→C→A→C→A→C……」という完璧な交互パターンが、延々と紡がれていくのです。

普通のポリメラーゼが「お手本を読んで写す翻訳機」だとすれば、Drt3bは、自分の体に”A用の彫り込み”と”C用の彫り込み”が刻まれた、手作りのスタンプのような存在なのです。

彫刻されたアミノ酸のパターンそのものが、塩基の並び順を決めている。

生命が「道具を削る」発想でDNA合成装置を作り上げた、とも言えるかもしれません。

ガオ博士の言葉が、この発見の本質を最もよく言い表しています。

「タンパク質そのものが、DNAの設計図として働いていたのです」

DNAを作るには核酸のお手本が絶対に必要、という長年の常識を、細はまるで当たり前のように覆していました。

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