猫も相手につられて表情を変えるのか?

笑顔の人と話していると、気づいたら自分も笑顔になっている。
泣いている映画を見て、思わずもらい泣きしてしまう。
人間が相手の表情を無意識にコピーしてしまう現象は「感情の伝染」として広く知られています。
これは意識してやっているわけではなく、脳が自動的に相手に同期している状態なのです。
ここで面白いのは、一部の研究者はこのコピペ行為を「共感の土台」ではないかと考えていることです。
人間を対象にした過去の研究では、相手と同じように顔の表情を動かした人ほど、相手の感情を正確に読み取れる一方で、ボトックス注射などで顔の筋肉を動けなくすると、相手の感情を読み取る精度が落ちることも分かっています。
つまり型から入るコピペ行為は、相手の気持ちを自分の体のなかに”なぞって”再現し、それを通して理解する基本になっているのです。
「相手がどんな気持ちか」を、頭で考えるより先に、自分の顔の筋肉が先回りして教えてくれる――表情のコピペは、共感という複雑な心の働きの、もっとも原始的な入り口なのではないか。
研究者たちはそう考えているのです。
この能力、これまでチンパンジー、ゴリラ、オランウータンといった霊長類だけでなく、イヌ、クマ類、さらには馬などでも確認されてきました。
絆を育む動物たちの共通言語として、進化の歴史の中で何度も独立に生まれた能力——それが表情のコピペなのです。
ところが、猫については誰も本格的に調べていませんでした。
理由は単純で、猫には「一匹狼」のイメージが強すぎ社交性が薄いとされる動物が、他の個体の表情を細かくマネするわけがない――そう思い込まれていたのです。
しかし近年、猫の社会性に関する見方は大きく変わってきました。
野良猫コロニー(群れ)での複雑な共生をはじめ、多頭飼育でも問題なく共存する柔軟さなど――猫は実は、驚くほど豊かな社交生活を送る動物だったのです。
だとしたら、表情のコピペも存在するのではないか。
研究チームはそう考え、調査に乗り出しました。


























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