偶然の発見から見えてきた「巨大な地下社会」
この驚くべき発見のきっかけは、実に日常的な出来事でした。
コーネル大学の昆虫学研究室で働くレイチェル・フォーダイス氏は、駐車料金を節約するため、墓地を通って通勤していました。
2022年の春、彼女はその墓地で異様な光景に気づきます。
地面から次々とハチが現れていたのです。
彼女はその場でハチを瓶に集め、研究室に持ち帰りました。
「墓地のあちこちに、このハチがいるんです」
そうして調べた結果、これらは英名で「レギュラー・マイナービー(学名:Andrena regularis)」という野生のハチであることが判明します。
このハチはミツバチのように巣箱で集団生活をするのではなく、それぞれが地中に巣穴を掘って単独で暮らす「単独性」の種です。
【地中から姿を現したレギュラー・マイナービーの画像がこちら】
研究チームは、この墓地一帯にどれほどのハチがいるのかを調べるため、地面に小型のテント状の「出現トラップ」を設置しました。
これは地中から出てくる昆虫を捕まえる装置で、一定期間にどれだけの個体が現れるかを測定できます。
2023年の春、約1カ月半にわたる調査の結果、16種類・合計3251個体の昆虫が捕獲されました。
その中で圧倒的に多かったのがレギュラー・マイナービーです。
これらのデータをもとに、研究者たちは1平方メートルあたりのハチの数を算出し、墓地全体の面積(約6000平方メートル)に換算。
その結果、この場所には平均で約550万匹、多い場合は800万匹近いハチが生息している可能性が示されたのです。
これは、わずか1.5エーカーほどの土地に200以上のミツバチの巣箱が密集しているのに相当し、都市の人口にも匹敵する規模です。



























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