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Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
history archeology

2000年前の「子供のミイラ」をスキャンした結果ーー胸の上に「謎の物体」を発見

2026.04.15 17:00:42 Wednesday

今から約2000年前に亡くなったひとりの少年。

その体はミイラとなり、長い年月を経てヨーロッパの博物館に保管されてきました。

しかし、その正体を知るための記録は、第二次世界大戦の戦火によって失われてしまいます。

名前も出身も、どんな人生を送ったのかも分からないまま、ただ「子どものミイラ」として眠り続けていたのです。

ところが最新の医療技術によって、この少年の体に再び光が当てられました。

ポーランドのヴロツワフ大学(University of Wrocław)の研究チームは、CTスキャンとX線を用いてミイラの内部を詳細に調査。

その結果、思いもよらない発見が報告されたのです。

それは少年の胸の上に置かれていた「正体不明の物体」の存在でした。

研究の詳細は2026年2月18日付で学術誌『Digital Applications in Archaeology and Cultural Heritage』に掲載されています。

Mystery item spotted in 2,000-year-old Egyptian child mummy https://www.popsci.com/science/child-mummy-egyptian-mystery-item/ New Research reveals secrets of a child’s mummy https://uwr.edu.pl/en/new-research-reveals-secrets-of-a-childs-mummy/
Digital technology in the service of mummy studies. Egyptian child mummy at the Museum of the Archdiocese in Wroclaw https://doi.org/10.1016/j.daach.2026.e00505

失われた記録と「見えない内部」を読む技術

【実際の子供のミイラ画像がこちら

このミイラは1914年、ドイツ出身の枢機卿アドルフ・ベルトラムによってヴロツワフにもたらされ、大司教区博物館に収蔵されました。

しかし、その来歴を記した資料は戦時中に消失し、長年にわたって「正体不明のミイラ」として扱われてきました。

本格的な科学調査が始まったのは2023年のことです。

研究チームは、遺体を傷つけることなく内部を調べるため、CTスキャンやX線撮影といった非侵襲的手法を用いました。

こうした非侵襲的な3D解析は、貴重な文化財を傷つけずに内部を調べられる点で、近年のミイラ研究を大きく変えつつあります。

その結果、少年の基本的な情報が次々と明らかになります。

歯の発達や骨の状態から、死亡時の年齢は約8歳と推定されました。

また、カルトナージュと呼ばれるミイラを包む外装の装飾様式から、出身地は上エジプト南部、特にコム・オンボやアスワン周辺の可能性が高いと考えられています。

【子供ミイラのスキャン画像がこちら

さらにミイラの内部構造も詳しく解明されました。

脳は鼻腔から取り除かれており、これは古代エジプトで一般的な処理です。

一方で内臓の除去方法には特徴があり、通常の腹部切開ではなく、直腸を通じて取り出された可能性が示されました。

体内には布などの繊維が詰められていましたが、防腐処理に使われる樹脂の量は比較的少なめでした。

これらの特徴から、このミイラはプトレマイオス朝時代(紀元前332年から30年頃)の中流階級による埋葬と推定されています。

ただし、これほど詳細な情報が分かっても、ひとつだけ大きな謎が残りました。

少年の死因は、依然として特定されていないのです。

次ページ胸の上に置かれていた「見えない遺物」

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