胸の上に置かれていた「見えない遺物」
今回の研究で最も注目されたのは、ミイラの内部構造そのものではありませんでした。
CT画像を3次元的に解析する中で、研究者たちはある異常に気づきます。
それは少年の胸の上に何らかの物体が置かれているという事実でした。
この物体は外部からは確認できず、包帯やカルトナージュに覆われていたため、これまで誰にも知られていませんでした。
つまり、2000年以上にわたって「完全に隠されたまま」存在していたのです。
しかし、この謎の物体を取り出して調べることは簡単ではありません。
ミイラを覆うカルトナージュはすでに損傷しており、非常に壊れやすい状態にあるため、物理的な開封は大きなリスクを伴います。
現時点での有力な仮説は、それがパピルスの巻物である可能性です。
もしそうであれば、そこには少年の名前や身分、あるいは来世に関する呪文が記されているかもしれません。
古代エジプトでは、死後の世界での再生や保護を願って、さまざまな文書や護符が遺体とともに埋葬されました。
この物体も、そうした宗教的な意味を持つものだった可能性があります。
チームは現在、この物体を損傷させずに内容を読み取る新たな手法の開発を進めています。
いわば「開けずに中身を読む」という、現代技術ならではの挑戦が続いているのです。



















































