地表だけでなく地下も貝殻が含まれている
この島が最初に記録されたのは2017年のことです。
バヌアレブ島北岸を対象とした地球考古学調査の最中に、研究者2名が沿岸の小さな突起に気づきました。
クラサワニという、ごく人口の少ない地域の沖合でした。
当初は本土が少し張り出しているように見えましたが、2024年の本格調査で、実際にはマングローブ林に四方を囲まれた独立した島であることが確認されました。
しかしこの島の表面を観察すると、すぐに異変に気がつきました。
どこを見ても、貝殻だらけです。
さらに手がかりになったのが、島に掘られた無数のカニの巣穴でした。
この地域に生息するワタリガニ(Scylla serrata)は、地下30〜50センチもの深さから土を地表に掻き出して穴を掘る習性があります。
そのカニが地表に積み上げた土にも、大量の貝殻が含まれていました。
表面だけではなく、島の中身まで貝殻で満たされていることを示す、最初の証拠でした。
ただ、この段階では、それが人間活動でできたのか、それとも津波のような大きな波で運ばれた自然堆積なのかは、まだはっきりしていませんでした。
この地域の沖合には地震活動の活発な断層帯があり、バヌアレブ島北岸は過去に津波の影響を受けた可能性もあったからです。
そこで研究チームは2024年に2回に分けて本格的な現地調査を実施しました。
20か所でハンドオーガー(2.5センチ径のコアサンプラー)を使って掘り進め、さらに1メートル×1メートルの試掘坑を4か所に設けました。
その結果、表面を覆う堆積層の厚さは20〜40センチでその層の70〜90%が貝殻で構成されていたことがわかったのです。
また採取された貝殻に対して放射性炭素年代測定でどれくらい古いものかを調べたところ、中央値が約1190暦年前(西暦760年ごろ)で、幅は1530〜910暦年前(西暦420〜1040年ごろ)の範囲に収まっていました。
「年代がばらけずひとかたまりに集中している」という事実は、この堆積物が長い地質時代をかけてランダムに積もったものではなく、比較的短い期間に集中して形成されたことを示唆します。
加えて、島の中からは小さな無文土器の破片が発見されました。
地表だけでなく、試掘坑の地中からも出土しており、貝殻の堆積と同じ時代の人間活動に結びついている可能性が高いです。
さらに出てくる貝がすべて食用種だったことも重要です。
発見された貝はアナダラ・アンティクァータ、ガフラリウム・ツミドゥム、コダキア・ティゲリナなどの二枚貝と、トロコス・ニロティクス、ターボ属などの巻貝で、すべて食用として知られる種です。
もし津波が海底を無差別に削り取って運んできたなら、食用でない種や深海性の貝も混ざるはずですが、それが一切見当たりませんでした。
また津波堆積物であれば、島の外側まで広がり、海岸から遠ざかるにつれて薄くなるパターンを示すはずです。
しかし調査では、貝殻層は現在の島の範囲にほぼ収まっており、そのような漸減は観察されませんでした。
これら結果は、この島の貝殻は人間の活動によって蓄積された可能性が濃厚であることを示しています。
しかしそうだとしても、なぜ「貝の島」となるまで人類はこの場所で貝を扱い続けたのでしょうか?





























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