「触れていないのに摩擦が発生する」新たな物理現象を発見――300年続く「押さえつけるほど動かしにくい」に意外な例外
「触れていないのに摩擦が発生する」新たな物理現象を発見――300年続く「押さえつけるほど動かしにくい」に意外な例外 / Credit: Hongri Gu / University of Konstanz
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「触れていないのに摩擦が発生する」新たな物理現象を発見――300年続く「押さえつけるほど動かしにくい」に意外な例外

2026.04.10 18:45:52 Friday

重いソファは動かしにくく、軽い椅子はスッと引ける――誰もが知っているこの当たり前は、「物と物が触れ合っているから摩擦が生まれる」という大前提のうえに立っています。

ところがドイツ・コンスタンツ大学(UKN)の研究チームが、この300年続いた日常的な摩擦の常識を根底から揺さぶる実験結果を発表しました。

触れていない2枚の板の間に、はっきりとした”摩擦”が発生していたのです。

さらに奇妙なことに、触れ合っていないこの世界では、「荷重が大きいほど摩擦は強くなる」という17世紀以来の大原則までもが崩れ、ある特定の距離でだけ摩擦がピークを迎えるという山なりの振る舞いまで観測されました。

研究成果は2026年3月18日に学術誌『Nature Materials』にて発表されました。

Challenging a 300-year-old law of friction https://www.psychologie.uni-konstanz.de/en/working-group-renner/news/news/news-detail/challenging-a-300-year-old-law-of-friction/
Non-monotonic magnetic friction from collective rotor dynamics https://doi.org/10.1038/s41563-026-02538-1

触れていないのに、動かすのに力がいる

触れていないのに、動かすのに力がいる
触れていないのに、動かすのに力がいる / Credit:Canva

机の上に辞書を置いて、指で押してみてください。

少し力を入れないと動きません。

動き始めても、手を止めればすぐ止まります。

この「動きを邪魔してくる感じ」が摩擦です。

自転車のブレーキ、靴の裏のすべり止め、鉛筆で書くときの紙の手ざわり――私たちの生活は摩擦だらけです。

そして誰もが直感的に知っていることがひとつあります。

では、なぜ重いほど動かしにくいのでしょうか。

教科書ではまず机の表面も、辞書の裏面も顕微鏡で見ると、実はギザギザで小さな山と谷だらけであることが明かされます。

そして軽く乗せるとギザギザのてっぺん同士が少しだけ触れ合いますが、重いものを乗せると山が押しつぶされて、触れている点の数が増え、触れている点が多いほど、動かすときに引っかかる場所も増えるので、摩擦が大きくなる――という解説が続きます。

そしてこのギザギザの触れ合いの結果「摩擦熱」が発生すると摩擦熱についての説明もあったでしょう。

そのため、触れていなければ、摩擦は発生しないはずです。

ですが今回ドイツのコンスタンツ大学のチームは、この常識をまっすぐ突き崩しました。

次ページ磁石の"引っ張り合い"と"摩擦"はまったく別物

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