何が摩擦熱に変わったのか?

熱に変わるエネルギーはどこから生まれたのか?
まず、思い出してほしいのは、上の板に並んだ小さな磁石たちは、金属の軸に刺さったコマのような構造をしているという点です。
方位磁針をイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません。
針は台座に固定されていて動けませんが、針自体は外からの磁気に応じて向きを変えます。
あれと同じです。
なぜかというと、磁石の向きには「こっちを向いていれば楽な向き」と「こっちを向いているとしんどい向き」があるからです。
針はいつも、いちばん楽な向きに落ち着こうとします。
上の板に並んだコマ磁石たちも、周りの状況に応じて、一瞬一瞬「いちばん楽な向き」を選び直しながら、その向きに落ち着いているわけです。
ここで上の板を横方向にゆっくりとスライドさせ始めます。
すると、上のコマ磁石の真下にある下の固定磁石の位置が、少しずつずれていきます。
下の固定磁石の位置が変われば、上のコマ磁石にとっての「楽な向き」も変わります。
さっきまでは右を向いているのが楽だったのに、板が少しずれた瞬間、今度は左を向いているほうが楽になる――そんなことが起きるのです。
上の板のミニ磁石たちは、それぞれが自分の真下の状況を見ながら、一斉に向きを調整し続けることになります。
このとき、向きを変えるたびにごくわずかな熱は生まれています。
ですが、その量は取るに足らないほど少なく、摩擦の大きさとしてはほとんど無視できるレベルにとどまります。
コマ磁石たちがスムーズに、滑らかに向きを変えていけるかぎり、逃げていく熱は驚くほどささやかです。
ところが、話はここで終わりません。
ある条件が重なると、このささやかな熱が突然、無視できない量へと跳ね上がる瞬間がやってきます。
上のコマ磁石は、自分の真下にある下の固定磁石のことだけを気にしていればよいわけではありません。
実は自分の真横にいる、同じ上の板のお隣のコマ磁石のことも、同時に気にしなければならないのです。
なぜなら、磁石同士はお互いに影響し合うので、真下だけでなく、真横にいる仲間の向きも、自分の「楽さ」に影響してくるからです。
ここで、2つの要求が同時にコマ磁石にのしかかります。
ひとつめは、下からの要請です。
「真下にある固定磁石と仲良く向き合える向きになりたい」。
ふたつめは、横からの要請です。 「真横にいる隣のコマ磁石とケンカにならない向きになりたい」。
やっかいなのは、この2つの要請が、多くの場面でお互いに矛盾することです。
下の言うことを聞けば隣とケンカになるし、隣の言うことを聞けば下とケンカになる。
下と隣が正反対の向きを要求してくる、そんな状況が頻繁に発生してしまうのです。
会社員にたとえるなら、「上司の言うこと」と「同僚の言うこと」が真逆で、どちらか片方しか満たせないような状況を想像してみてください。
上司に従うと同僚から白い目で見られる。 同僚に合わせると上司に叱られる。
正解のないまま、右往左往するしかありません。
コマ磁石たちはいま、それとそっくりな板ばさみの中にいます。
そして、コマ磁石は”我慢の限界”で突然「キレる」ことになります。



























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