「スクショを撮ると記憶に残らない」全実験で一致、米大学の研究
「スクショを撮ると記憶に残らない」全実験で一致、米大学の研究 / Credit:Canva
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「スクショを撮ると記憶に残らない」全実験で一致、米大学の研究

2026.08.24 19:00:19 Monday

アメリカのビンガムトン大学(BU)で行われた研究によって、スマホでスクリーンショットを撮ると、その内容をかえって忘れやすくなることが、約900人を対象とした7つの実験すべてで一貫して示されました。

また研究では「スマホに保存した分、脳には余裕が生まれるのでは?」という見返りも探されましたが、ほとんど見つからなかったのです。

この結果はスクリーンショットをとるという行動そのものに、記憶を劣化させる罠が含まれている可能性を示しています。

研究チームも「ボタンを押すことで情報や経験に関する記憶が損なわれている可能性が高く、その影響は撮った情報の範囲を超えて広がっているかもしれない」と述べています。

私たちは「記録」と「記憶」のどちらかしか選べないのでしょうか?

研究内容の詳細は2026年8月3日に『Memory & Cognition』にて発表されました。

Taking screenshots makes you more likely to forget information https://www.eurekalert.org/news-releases/1140328
Digital amnesia: The aftermath of a screenshot https://doi.org/10.3758/s13421-026-01921-2

スクリーンショットをとると記憶が劣化する

スクリーンショットをとると記憶が劣化する
スクリーンショットをとると記憶が劣化する / Credit:Canva

授業のスライド、気になるレシピ、乗換案内の画面、あとで読みたいSNSの投稿。

「今は時間がないから、とりあえずスクショ」——スマホを持つ人なら、ほぼ毎日やっている操作ではないでしょうか。

こうして撮りためた写真やスクショは、平均的なスマホに約2000枚も眠っているとされますが、その多くは開かれないまま沈んでいきます。

実は心理学の世界では以前から、「写真を撮ると、撮った対象の記憶がかえって悪くなる」という現象(写真撮影による記憶障害効果)が知られていました。

美術館で作品を撮影して回ると、撮った作品ほど思い出せなくなる、という研究が出発点です。

より身近な例は電話番号でしょう。

スマホに連絡先を登録するのが当たり前になってから、他人の電話番号を暗記する人はほとんどいなくなりました。

「調べればすぐわかる」情報を、脳はわざわざ抱え込もうとしないのです(グーグル効果)。

そして近年、この「撮ると忘れる」現象は、カメラ撮影だけでなくスクリーンショットでも起こることが報告されはじめていました。

ただ、ここで一つの反論が成り立ちます。

「忘れても、損とは限らないのではないか」というものです。

情報を端末に預ければ、脳はそれを覚えておく労力を節約できます。

この仕組み(認知的オフロード)が働いているなら、浮いた脳のリソースは別の記憶や作業に回せるはずで、「スクショした内容を忘れる代わりに、他の何かが捗る」というトレードオフが成立していてもおかしくありません。

もしそうなら、スクショは記憶の損失ではなく、賢い分業だということになります。

今回の研究チームが確かめようとしたのは、まさにこの「見返り」が本当にあるのかどうかでした。

チームは合計892人の大学生を対象に7つの実験を行い、参加者自身のスマホで主に美術作品の画像を「ただ見る」か「スクショを撮る」かしてもらったうえで、後から記憶テストを実施しました。

テストの基本は、そっくりな3枚の絵の中から、さっき見た1枚を選ぶ形式です。

結果は、はっきり出ました。

スクショを撮った画像は、ただ見ただけの画像より、明らかに思い出せなくなっていたのです。

この差は7つの実験すべてで確認されました。

ある実験では、ただ見た画像の正答率が約88%だったのに対し、スクショした画像では約61%まで落ち込みました。

一見すると「61%ならまだ覚えているほうでは」と映る数字ですが、このテストは3枚から1枚を選ぶ形式のため、でたらめに答えても33%は当たります。

まぐれ当たりの33%を差し引いてみと、記憶の実力で正解できた分は、ただ見た場合が55ポイントなのに対して、スクショした場合が28ポイントにまで押していました。

スクショをしただけで、覚える力はちょうど半分に削られていたのです。

では、肝心の「見返り」はどうだったのでしょうか。

もしスクショが省エネ戦略として機能しているなら、浮いた力はどこかの成績に現れるはずです。

チームは考えられるメリットを片っ端から検証しました。

まず、スクショの直後に画像とは無関係の計算問題を解かせてみました。

頭のリソースが浮いているなら、計算がはかどるはずです。

結果は、差なし。

次に、スクショのあとに「二枚目のセット」として新しい画像を見せ、そちらの記憶が良くなるかを調べました。

前の情報を手放した分、新しい情報が入りやすくなるかもしれないからです。

ところが、こちらもほぼ差なし。

利点らしきものが顔を出したのは、条件を何重にも組み替えた先の一回だけです。

題材を美術作品からモノクロの日用品や動物の絵に差し替え、思い出す順番を変え、正解の基準まで甘くして、ようやく小さな差が見えたという条件でした。

こうして収支をまとめると、スクショという取引は「記憶の劣化だけが残り、得はほぼゼロ」。

論文では「スクリーンショットは相当な記憶コストを課す一方、それを補う利益は提供しない」と結論づけられています。

ではスクリーンショットをした瞬間、私たちの頭の中で何が起きているのか。

次ページなぜスクショしたものは忘れやすくなるのか?

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