スクショを「記憶の味方」にする方法

ここまで読むと、スクショが諸悪の根源のように思えてきますが、話はそう単純ではありません。
過去に行われた研究では、写真や動画を手がかりに体験をたどり直すと、思い出せる量が増えることが確認されてきました(Selwood et al., 2020; Martin et al., 2022)。
たとえば高齢者を対象とした実験では、日常の出来事を短い動画で記録し、後から繰り返し見返すことで、思い出せる細部が増え、思い出すときの気分も前向きになりました。
さらに、記憶に深く関わる脳の部位(海馬)の活動にまで違いが現れています(Martin et al., 2022)。
このように撮った画像を後からきちんと見返して復習に使えば、記憶の助けになることもあるのです。
研究チームは、少数の意図的なスクショを撮って後で内容と向き合い直す人にとって、スクショは他の復習の手法と同じように働き、自分の記憶を補う有用な助けになると述べています。
一方、撮ったあとに見返さない場合はどうなるかは、今回の研究が示した通りです。
内容の記憶が曖昧になるだけでなく、それをスクショしたのか、ただ見ただけだったのかまで、あやふやになるのです。
そして反射的に撮っては開かず、2000枚の海に沈めていく——多くの人がやりがちな使い方において、スクショは撮るたびに、その内容の記憶を少しずつ削るボタンとして働いていることになります。
結婚式、旅行、わが子の発表会。
大切な瞬間ほど、私たちはスマホを構えたくなります。
けれど、その一押しと引き換えに、体験そのものの記憶を明け渡しているのだとしたら——話は変わってきます。
大切な情報を前にしたとき、選択肢は「撮る」か「撮らない」かではありません。
数枚だけを選んで撮り、あとで画面を開いて見返す——その一手間が、カメラロールに眠るだけの複製を、頭の中の取り出しやすい記憶へ変えていきます。
スクショが記憶の味方になるかを決めるのは、シャッターを切った瞬間ではなく、その画面との向き合い方だったのです。



































