その夜、オーロラが南まで伸びてきた

カーナビやスマホの地図で、現在地の点が走ってもいないのに隣の道路へ飛ぶ。
そんな経験は誰にでもあるはずです。
たいていは数秒で元に戻り、原因も高いビルやトンネルなど身近なものです。
ずれがその程度で済むのは、頭上が静かだからです。
GPSの電波は、衛星から地上に届くまでに上空の電気を帯びたガスの層(電離圏)を必ず通ります。
この層にムラができると電波は乱れますが、そうした乱れが起きる場所は、昔から北極圏と赤道付近と相場が決まっていました。
アメリカ本土のような中緯度は、GPSにとって安全な場所だと考えられてきたのです。
しかし2025年11月11日の夜は違いました。
太陽から吹きつけた嵐が地球の磁場を激しく揺さぶり、地磁気の乱れを示す指標(Kp指数)は最大値の9に達しています。
普段は北極圏に近い空でしか見られないオーロラが、この夜は南のフロリダ州中部まで見えうる範囲を広げました。
安全地帯とされてきた空に、オーロラそのものが南下してきたのです。
人々が歓声を上げて見上げたその光の下で、GPSの電波に何が起きていたのか。
研究チームは、カナダ南部に置かれたオーロラ観測カメラの映像と、アメリカとカナダ全土に散らばるGPS受信機のデータを突き合わせました。






























