ナトロン湖は「強アルカリ性の塩湖」
ナトロン湖は、タンザニア北部のアルーシャ州にある湖です。
この地域は、標高の低い半乾燥域にあたり、日中の気温はしばしば40℃を超え、年間800mmに満たない降雨のほとんどが12月〜5月の間に降ります。
ナトロン湖の大きさは降雨量によって変化しますが、最大で長さ57km、幅22km、水深は深い場所でも3mほどと湖としては比較的浅いです。
水の流出口は地表・地下ともに存在せず、水量の減少は蒸発によってのみ起こります。
映像でこの湖を見たとき、まず目を引くのが真っ赤な湖水ですが、これは塩分を好む藍藻の色です。
アオコの大量発生で湖が緑色に染まるのと似たような状況で、ナトロン湖は塩分濃度が上昇すると藍藻の大量発生で赤く染まるのです。
ナトロン湖の水は少なくとも8%の塩化ナトリウムを含んでおり、さらに強アルカリ性でその度合いは有害なアンモニアとほぼ同じ、pH9~10.5に達します。
水質がこの様に特徴的な原因は、湖の南に位置する「オルドイニョ・レンガイ( Ol Doinyo Lengai)」という火山にあります。
オルドイニョ・レンガイは、カーボナタイト (火成炭酸塩岩)という炭酸ナトリウムを多分に含んだ溶岩を噴出する、地球上で唯一の火山です。
このカーボナタイトを長い年月をかけて吸収したことで、ナトロン湖の水は強アルカリ性となったのです。
また、湖水が蒸発するたびに、周囲の塩性の土壌から継続的に塩分が流入することも大きな要因です。
この火山の影響で、ナトロン湖には熱水噴出孔もあり、水温は最大で60℃に達することがあります。
これは人間なら火傷してしまう水温です。
まさに地獄のような湖ですが、さらに驚くべきは、触れた動物を石化させるという噂が立っていることです。
しかし、本当にそんなことはあり得るのでしょうか? 一体ナトロン湖に触れた動物は、どのように「石化」するというのでしょうか?