回転させて初速度をアップさせる
物体を遠くに飛ばすためのごくシンプルな方法には、「回転させて投げる」というものがあります。
この技術は昔から様々な場面で利用されてきました。
例えば原始的な武器である投石器(スリング)は、紐を使って石を回転させながら放出します。
この方法により、石と紐だけで弓矢と同等以上の射程や威力が得られます。
またオリンピック競技でもあるハンマー投げも同様の原理を利用しています。
重い鉄球を紐や鎖を使って回転させ、遠くまで投げ飛ばすのです。
この「回転させて遠くまで飛ばす」原理はいたって単純です。
おもりを紐でつないだまま回転させ続けると、おもりはその場で周回スピードを上げていきます。
そしてその状態で紐が離されると、おもりは大きな初速度で放出されるため、遠くまで飛んでいくのです。
この原理を子どもの頃に知ったとき、「ハンマー投げの鉄球でさえ遠くまで飛ばせるのだから、もっと大きな装置を使ったら、宇宙まで物を飛ばせるのかな?」なんて空想した人もいるのではないでしょうか?
そしてこの発想を実現してしまったのが、SpinLaunch社です。
彼らはロケットを回転させて、本当に宇宙まで投げ飛ばしてしまったのです。