アファンタジアの原因は「映像記憶を引き出す神経回路の切断」?
脳は、頭頂葉、前頭葉、後頭葉、側頭葉などの部位に分かれており、それぞれが協力しています。
そして脳内イメージは次のように作り出されています。
まず頭頂葉や前頭葉が脳に保存されている情報を映像として取り出します。
次に、その情報を後頭葉と側頭葉が処理。
その結果、脳内スクリーンには映像が映し出されるのです。
さて2005年、イギリスのエクセター大学(University of Exeter)に所属する認知神経学者アダム・ゼーマン氏は、ある患者から「脳内で視覚化する能力が失われた」という報告を受け、アファンタジアに関する研究を開始。
研究には同様の症状をもつ20人以上が参加しました。
彼らの脳をfMRIで調べた結果、頭頂葉と前頭葉の活動が低下していると判明。
しかし患者たちは、夢の中では鮮明なイメージ体験ができていました。
また患者たちの中には、先天性のアファンタジアの人もいれば、後天性の人もいると分かりました。
ゼーマン氏はこれらの調査結果から、次のように推測しています。
「患者たちの記憶自体は問題ないので、アファンタジアの原因は脳の各部をつなぐ神経回路の切断なのかもしれない。
あるいは、そもそも神経回路が存在していないのだろう。
アファンタジアの人はイメージを形成することはできても、”脳のプロジェクター”に欠陥があるため、意識的にそのイメージにアクセスできないと考えられる」
ではアファンタジアの人は、脳内イメージを映し出せないゆえに思考力や判断力が劣ってしまうのでしょうか?
実は、そうとも限りません。
アファンタジアゆえにハイレベルな論理的思考が可能になる場合があるのです。