脳内イメージが作れない「アファンタジア」
美しいビーチを頭の中に思い描けるでしょうか?
そこには水平線に沈んでいく夕日やオレンジ色に染められた砂浜やヤシの木が登場するかもしれません。
ある意味、私たちの脳内は映画館のようです。
脳内スクリーンでは、どこかで見たことのある色とりどりの静止画や動画が次々に映し出されることでしょう。
しかし、このような脳内イメージを作れない人たちがいます。
この症状は「アファンタジア」と呼ばれており、人類学者フランシス・ゴルトン氏によって、1880年に初めて研究されました。
そしてゴルトン氏は調査の結果、「イギリス人の2.5%がアファンタジアである」という推測を提出。
つまり40人に1人は頭の中で映像を作り出すことができていなかったのです。
とはいえ、このときの調査は統計的なものであり、症状自体を詳しく調べたものではありませんでした。
なにより「アファンタジア」という名前は2015年にエクセター大学のアダム・ゼーマン教授の研究で名付けられたもので、それまでは症状は知られていたものの、明確に名前すら付いていなかったのです。
そして1880年の調査から時は経ち、2005年になってこの症状は再び注目されるようになります。
「ある患者が事故によって後天的なアファンタジアの症状を示した」という事例が報告されたのです。