核融合反応でついに「一部黒字」を達成!
現在、私たちの使う電力を作り出している原子力発電は、原子核の分裂によって生じる熱で「お湯」を沸かし、蒸気圧でタービンを回して電力を作っています。
一方、現在各国で研究が進む核融合炉は、原子核の融合によって生じる熱で「お湯」を沸かすことを目的としています。
核融合炉は原料が水素というありふれた存在であり、安全性が高く核廃棄物も出ないため、未来のエネルギー源として各国で開発競争が行われています。
そして技術的なブレイクスルーが起こるたびに、たびたびニュースとなって私たちの耳にも届いていました。
しかし実は…これまで各国で行われてきた核融合は「全て赤字」でした。
核融合を起こすには燃料である水素を太陽の中心に匹敵するほどの超高温・超高圧状態にして「融合」させ「ヘリウム」にしなければなりません。
ですが当然ながら超高温・超高圧を達成するには、膨大なエネルギーが必要になります。
これまでさまざまな核融合実験が各国で行われ、実際に核融合反応が観察されてきましたが「燃料(水素)に注いだエネルギー」が「燃料(水素)から発生したエネルギー」よりも圧倒的に多い状態が続いていました。
つまり赤字です。
そのため、あえて意地悪な言い方をすれば「発電など夢のまた夢」だったのです。
しかし今回、国立点火施設(NIF)の研究者たちはついに、中枢反応のエネルギー収支の黒字化に成功します
今回の実験では、燃料に230kJのエネルギーが注がれた一方で、燃料から発生したエネルギーはその6倍近い1.3MJに及んだのです。
燃料に注がれるエネルギーより発生するエネルギーが勝っていれば、余剰のエネルギーを使って「お湯」を沸かし、蒸気タービンをまわして発電することが可能になります。
(※核融合でも結局は最後に、お湯を沸かすことになります)
人類はついに、核融合発電を実現させることができるのでしょうか?
残念ながら、まだ、そうはいかないようです。