かわいいものに対する攻撃的衝動「キュートアグレッション」
私たちは、人間や動物の赤ちゃんなど「かわいいもの」を見たときに、自分の歯を食いしばったり、拳を握りしめたりすることがあります。
また、かわいいと思った対象を噛んだり、ギュッと抱きしめたり、つまんだりしたいという衝動に駆られることもあるでしょう。
このような、かわいいものに対する攻撃的な衝動や行動を「キュートアグレッション」と呼びます。
キュートアグレッションは、「優しい気持ちをもっているのにイジワルしたくなる」という、複雑で矛盾した感情であるため、研究者たちはそのメカニズムを解明したいと思っていました。
そしてこれまでの研究により、キュートアグレッションは「大きすぎる感情の調整に役立つ」と考えられています。
人は抱いている感情とは反対の表現を行うことで、大きすぎる感情を調整することがあります。
例えば、とても嬉しいときに涙を流したり、あまりにも悲しくて逆に笑ったりすることがあるでしょう。
研究者たちは、これらと同じく、キュートアグレッションが圧倒的な「かわいい」に脳が対処するために生じている、と推測しているのです。
この作用を証明するためには、キュートアグレッションと脳の働きに何らかの関係性を見いだす必要があります。
そこでスタブロプロス氏ら研究チームは、キュートアグレッション時の脳活動を調査することにしました。