翼竜の化石に「羽毛」を確認!
翼竜の化石に「羽毛」を確認! / Credit: Aude Cincotta et al., Nature(2022)
paleontology

翼竜には「カラフルな羽毛」があった!? 化石から証拠を発見!

2022.04.21 Thursday

恐竜は長年、今日のトカゲのように毛のない鱗に覆われている、と考えられてきました。

ところが、ここ数十年の相次ぐ化石の発見により、鳥類のような羽毛を持っていた可能性が指摘されています。

一方で、同時代に空を支配していた爬虫類の「翼竜(pterosaurs)」については、羽毛があったかどうかわからず、論争に決着がついていません。

しかし今回、アイルランド国立大学コーク校(University College Cork)らの研究で、ブラジルで新たに見つかった化石から、翼竜が羽毛を備えていた証拠が発見されました。

しかも、羽毛には多様で鮮やかな色もあった可能性が示されています。

研究の詳細は、2022年4月20日付で科学雑誌『Nature』に掲載されました。

Groundbreaking Study Confirms Pterosaurs Really Did Have Feathers – And That’s Not All https://www.sciencealert.com/groundbreaking-study-confirms-pterosaurs-had-feathers-with-a-colorful-secret Pterosaur discovery solves ancient feather mystery https://phys.org/news/2022-04-pterosaur-discovery-ancient-feather-mystery.html
Pterosaur melanosomes support signalling functions for early feathers https://www.nature.com/articles/s41586-022-04622-3

鳥類と同じ「枝分かれした羽毛」を発見!

翼竜の化石には、過去にも「毛のようなふわふわしたもの」が見つかっていた例があります。

ただ研究者らは、これが枝分かれしていない単一のフィラメント状(糸状の構造)であることから、「ピクノファイバー」と命名し、羽毛とは別物と考えてきました。

恐竜の化石に見られる羽毛にはちゃんと、鳥類と同じ「羽軸」と「羽枝」があります。

そのため、翼竜に羽毛があるとは断定されていませんでした。

中央が「羽軸」、そこから生え出るのが「羽枝」
中央が「羽軸」、そこから生え出るのが「羽枝」 / Credit: canva

しかし研究チームは今回、ブラジル北東部の岩板に保存されていた、約1億1300万年前のトゥパンダクティルス・インペラトール(Tupandactylus imperator)」の化石を新たに発見。

そこに残された羽毛の痕跡を特定しました。

トゥパンダクティルスは、白亜紀(約1億4500万〜6600万年前)の前期から存在した翼竜で、頭部の巨大なトサカが特徴的です。

新たな化石標本には、頭頂部から生え出るピクノファイバーだけでなく、羽毛のように、中央の軸から枝分かれした短い繊維を持つ構造が発見されました。

実際の化石と見つかった羽毛の痕跡
実際の化石と見つかった羽毛の痕跡 / Credit: Aude Cincotta et al., Nature(2022)
トサカの下部に羽毛を発見
トサカの下部に羽毛を発見 / Credit: Aude Cincotta et al., Nature(2022)

これは、翼竜では過去に報告された例がありません。

研究主任のアウデ・シンコッタ(Aude Cincotta)氏は「この分岐構造は、現存する鳥類の羽毛、すなわち羽軸から分岐した羽枝に相当する」と指摘。

「化石標本では、現在の鳥と同じように全身にわたって羽毛が確認されたため、長年の論争に終止符を打つ確かな証拠となります

研究チームによると、翼竜の羽毛は、恐竜との共通祖先から受け継がれたと予測されますが、別々に独自に進化した可能性もあるという。

さらにこの羽毛には、驚くべき特徴が残っていました。

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