クリトリスの神経線維数は1万本あると判明!既存の8000本説の終焉
クリトリスは快楽を提供するためだけに存在する、極めて特異な器官です。
しかし歴史的に医学はクリトリス、大陰唇、小陰唇など外陰部について、意外なほど注意を払ってきませんでした。
そのため人間のクリトリスに存在する神経線維数も、これまでは主に家畜のクリトリスからのデータを参考に算出した8000本という推定がなされているだけとなっていました。
(※この8000本という数は現在、クリトリスの説明を行っている世界中の教科書やメディア媒体にて使われています)
そこで今回、オレゴン健康科学大学の研究者たちは、世界ではじめて人間のクリトリスに含まれる神経線維数を改めて算出することにしました。
調査にあたってはまず、性転換手術の過程で摘出された7人のクリトリスの一部(背側神経組織の片側)を顕微鏡で拡大し、画像解析ソフトを用いて神経線維数を数えました。
一般にクリトリスは男性器の先端部分を小型化した形状と考えられていますが、実はクリトリスの大部分は体の内部に存在し、上図のように体内で左右対称の逆V字型の構造をとっています。
結果、片側だけで平均して5140本の神経線維があることが判明。
クリトリスは左右対称の構造をしており、それが頂点部分で合わさるような構造をしているため研究者たちは平均値に2をかけ、人間のクリトリスには1万本を超える神経線維が存在すると結論しました。
この数は、既存の8000本とする推定値よりも20%以上大きな数となっています。
研究を主導したPeters 氏は「クリトリスのような小さな器官に1万本もの神経線維が集中しているのは驚くべきことである」「特に手の神経と比べるとその凄さがわかる」と述べています。
人間の手首にある正中神経は体内でも特に神経線維の密度が高いことが知られており、1万8000本あまりが存在することが知られています。
正中神経は手にとって最も重要な神経であり、手に鋭敏な感覚と巧緻性を与えています。
しかしクリトリスは手よりも遥かに小さい器官であり、その役割も快楽を感じ取ることに特化しているにもかかわらず、正中神経の半分以上の1万本もの神経線維を有しているのです。
研究者たちは今回の結果を、性転換手術においてより優れた感覚を持つ陰茎(ペニス)を形成するのに利用できると述べています。
また今後は陰茎の神経線維の研究も進め、陰茎をクリトリスにする性転換手術法の改善も目指していくとのこと。
もしかしたら今回の研究成果のお陰で、世界中の性科学ついて書かれた教科書や保健体育にかかわる動画の内容が書き換わってしまうかもしれません。