人類はかつて「Y精子を殺すX染色体」のせいで女性ばかりうまれていた
人類はかつて「Y精子を殺すX染色体」のせいで女性ばかりうまれていた / Credit:Canva . ナゾロジー編集部
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【ミクロの男女戦争】5万年前人類はX染色体の大攻勢で女性しか生まれなくなっていた! (2/3)

2022.11.25 Friday

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5万年前に人類のX染色体は塗り替えられてしまった

5万年前に人類のX染色体は塗り替えられてしまった
5万年前に人類のX染色体は塗り替えられてしまった / Credit:L. Skov et al . Extraordinary selection on the human X chromosome associated with archaic admixture (2022) . bioRxiv

人類のX染色体とY染色体の間にも凄惨な殺し合いが起きていたのか?

謎を解明するため研究者たちは世界各地の男性から162種類のX染色体を採取し分析を行うことにしました。

もし人類のX染色体とY染色体も進化の過程で殺し合いをしてきたのならば、DNA配列になんらかの「戦いの痕跡」が残っている可能性があったからです。

結果、アフリカ人以外の人類のX染色体の19個所において、極めて共通性高い(配列パターンが似ている)領域があることが判明。

最も共通性が高い領域はアフリカ人以外の人類の91%に存在することが判明しました。

この結果は、現在に生きるアフリカ人以外の人類のX染色体は過去のある時点でほぼ「一色」に塗り替えられてしまっていたことを示します。

そこで研究者たちはDNAの配列パターンから、塗り替えイベントが起きた時期と発生地点を算出を試みました。

すると人類のX染色体の塗り替えイベントは、今からおよそ4万5000年~5万5000年の東アジアを震源地としていることが判明します。

これらの結果は、今から5万年ほど前に東アジアで出現した変異X染色体が、それまで存在した人類の多様なX染色体を駆逐して、アフリカ人以外の人類に急速に拡大したことを示します。

実際、塗り替えイベントの痕跡がある共通性の高い部分では、現在のアフリカ人以外の人類が持っているはずのネアンデルタール人遺伝子がほとんど存在しませんでした。

人類は今から25万年ほど前にネアンデルタール人と混血し、X染色体にもネアンデルタール人の遺伝子が多くちりばめられています。

しかし5万年前に起きた変異X染色体の塗り替えイベントは、古代から継承されたネアンデルタール人由来の遺伝子のいくつかを上書きしてしまったのです。

しかしそうなると気になるのが、その方法です。

次ページ染色体たちの「忘れられた世界大戦」

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