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Credit: canva, ナゾロジー編集部
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【ミクロの男女戦争】5万年前の人類は「X染色体の大攻勢」で女性しか生まれなくなっていた⁈ (2/3)

2024.12.08 18:00:34 Sunday

前ページX染色体とY染色体の血塗られた歴史

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5万年前に人類のX染色体は塗り替えられてしまった

人類のX染色体とY染色体の間にも凄惨な殺し合いが起きていたのか?

その謎を解明するため、研究者たちは2022年に世界各地の男性から162種類のX染色体を採取し分析を行うことにしました。

もし人類のX染色体とY染色体も進化の過程で殺し合いをしてきたのならば、DNA配列になんらかの「戦いの痕跡」が残っている可能性があるからです。

結果、アフリカ人以外の人類のX染色体の19個所において、極めて共通性の高い(配列パターンが似ている)領域があることが判明。

最も共通性が高い領域はアフリカ人以外の人類の91%に存在することがわかりました。

この結果は、現在に生きるアフリカ人以外の人類のX染色体は過去のある時点でほぼ「一色」に塗り替えられてしまっていたことを示します。

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5万年前に人類のX染色体は塗り替えられてしまった/ Credit:L. Skov et al . Extraordinary selection on the human X chromosome associated with archaic admixture (2022) . bioRxiv

そこで研究者たちはDNAの配列パターンから、塗り替えイベントが起きた時期と発生地点の算出を試みました。

すると人類のX染色体の塗り替えイベントは、今からおよそ4万5000年~5万5000年前の東アジアを震源地としていることが支持されたのです。

これらの結果は、今から5万年ほど前に東アジアで出現した変異X染色体が、それまで存在した人類の多様なX染色体を駆逐して、アフリカ人以外の人類に急速に拡大したことを示します。

実際、塗り替えイベントの痕跡がある共通性の高い部分では、現在のアフリカ人以外の人類が持っているはずのネアンデルタール人遺伝子がほとんど存在しませんでした。

人類は今から25万年ほど前にネアンデルタール人と混血し、X染色体にもネアンデルタール人の遺伝子が多くちりばめられています。

ところが5万年前に起きた変異X染色体の塗り替えイベントは、古代から継承されたネアンデルタール人由来の遺伝子のいくつかを上書きしてしまったのです。

しかしそうなると気になるのが、その方法です。

次ページ染色体たちの「忘れられた世界大戦」

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